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ナデック通信

2023年
12月号

「アンコンシャスバイアス」とは?

今年一年を振り返って、コロナ禍が落ち着いてセミナーなどでの登壇の機会が復活してきていますが、以前のようなリアルセミナー中心ではなく、オンラインの機会が例年よりも増えてきていると思います。弊社はというと、昨年あたりから従来の人材派遣とか労働法改正に加えて、ジェンダーやハラスメントとかダイバシティの分野に関するご依頼が増えつつあります。

秋深まって冬に向かう季節は、ちょっとした登壇ラッシュでした。2日間の日程で行った「ハラスメント防止研修」、そして全国各地で教育事業を展開される一部上場企業様でのオンライン研修、恒例の「ナデックゼミ」、さらには地元商工会議所の創業塾。時期が集中して取り組んだ登壇でしたが、いずれも有意義な機会になったと思います。

そんな中、「アンコンシャスバイアス研修」は、昨今の人事労務の課題にフォーカスした新たな試みでした。数年前からある協会のライセンスを得てトレーナーとしても活動しており、ダイバシティ分野について発信していることからご縁も増えつつありますが、今回は同業の先生からのご紹介で、企業様の取り組みとしてダイバーシティウィークを実施されるということで、その中の研修のひとつがこのテーマになりました。

 

内容としては、「アンコンシャスバイアス研修」でしたが、アンコンについては内閣府が力を入れて発信や啓蒙をしていることから、企業の人事分野ではとても有名になってきているものの、いざさまざまな場でその存在や認識を聞いてみると、現場への浸透はまだまだこれからだと感じさせられます。そんな現状認識から、今回の講座では気軽に参加いただける実践的な基礎編をお伝えしました。

オンライン研修ということもあり、ZOOMのチャット機能を用いて参加者のみなさんから随時、意見や感想を出し合ってもらう流れで、当日は8つのワークを折り込んで、参加者のみなさんにコミュニケーションをはかっていただきました。とてもタイトなスケジュールの中で、本当にたくさんのコメントをいただくことで活発な研修会となり、私自身もあらためて山のような気づきと学びをいただきました。

この研修会は数か月前から複数の担当者の方と何度もZOOMで打ち合わせを重ね、当日も一時間前からスタンバイしてリハーサル的な準備を行ったこともあり、有意義な会になったことに感謝しています。主催者さんのアンコンシャスバイアス対応への熱い想いが、すべての参加者のみなさんにしっかり伝わっているのが分かりましたし、その一連の流れの中に加わることができたことを喜びに感じています。

 

 

そもそも、「アンコンシャスバイアス」とは何なのでしょうか? 無意識の偏見とも無意識の思い込みとも訳されますが、「偏見」という日本語にはネガティブなイメージが強いため、「無意識の偏ったモノの見方」といった理解が望ましいと思います。研修の冒頭ではクイズ形式で簡単なワークを行いましたが、ひとつのテーマに関して本当にさまざまな意見やとらえ方がタイムリーに飛び交って、まさに人間は誰ひとり同じ人はいない。だからこそ、その違いを認め合う関係作りが大切だと感じました。これこそが、アンコン理解の原点だと思います。

アンコンシャスバイアス研修の第一歩は、「誰の心にもアンコンはあるもの」というリアルを知って、お互いに共有しあうことです。私たちは、ともすれば「自分には差別心なんてない」と思い込んだり、「偏見にまみれている人なんてごく一部」だと考えたりしていますが、あらためて日頃の仕事や生活を振り返ってアンコンの存在を見つめてみると、いかに世の中がアンコンに埋め尽くされていて、むしろありのままの人間は誰しもアンコンを持っているのが自然だという現実を知ることができます。

研修の中盤では以下のようなワークを行いましたが、今回もみごとに4つの選択肢がほぼ均等にばらけて、選んだ理由もバックボーンもみなさんバラバラというリアクションをいただきました。今回は選択肢を選ぶだけでなく、コメントも自由にタイムラインに流していただきましたが、全員でこれを追いかけているだけで、リアルなアンコンの姿を直視し共有することができたと思います。

 

ワーク○ (3分ほど)

相手を見ていて、普段と違う表情や態度を感じる場面は、どのようなときでしょか?

①あいさつを交わしたとき
②一対一で会話をしているとき
③仕事中の姿を眺めたとき
④イベントや飲み会のとき

*上記の①~④から選んでみてください。

 

いかがでしょうか? 本当に簡単なワークですが、ある種のゲーム感覚でその場を盛り上げることができますし、職場で一体感を持つことで、それぞれがみんなまるで違うアンコンと自然と向き合うことで、言葉や座学だけではなかなか得られない理屈を超えたリアルな姿を共有し合うことができるのではないでしょうか。「そもそも、アンコンってなに?」「自分にはアンコンなんて関係ないよ」という意識から、「私にもあなたにも、アンコンがあるのが当たり前」「それぞれの違いを理解し合うことが大切」という感覚へ気づかないうちにと変化していくプロセスにこそ、ほかに代えがたい価値があるのではないかと思います。

研修の終盤では、アンコンをめぐる上司と部下の関係についても触れました。いつの時代にも上司と部下の関係に悩むのは永遠のテーマだといえますが、いわゆるZ世代の部下や後輩といかに向き合うかに悩む人が多く、逆に職場で苦しむZ世代の人たちの苦悩がエスカレートしているというのが、今の時代の実情ではないかと思います。いうまでもなく、アンコンについて学び、意識を共有することは素晴らしいことですが、自分自身のアンコンに気づきを深めることで、かえって他人(部下や後輩)と素直に向き合えなくなるという構図もまた悲しい現実なのです。

 

自分自身の主体性や組織における役割とのギャップに苦しみ、自分は間違っていないと思いつつ、思いきった言動を起こせなくなる人は多いものですが、総じてアンコンを意識するあまり、他人が自分に持っているアンコンに神経質になりすぎないことが大切だといえます。世の中、自分が思っているほど他人は自分に興味を持っていないものですし、世の中にアンコンのない人間はたった一人もいないのがクールな現実です。

ぜひ、こうした共通の基盤をしっかりと共有することから、アンコンによってお互いの人間力を鍛える方向に向かって、上司や先輩として推進力を持っていきたいものです。そして、部下や後輩の立場からも、清々しく一期一会に全身全霊で向き合う心持ちが芽生えることにつながるのではないかと思います。私たちは、そのためのお手伝いに勤しんでいきたいと考えています。