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ナデック通信

2020年
9月号

「アフターコロナ」「ポストコロナ」の働き方とは?

新型コロナウイルス感染症は、私たちのさまざまな行動様式、生活様式を変えました。当初は夏には収束すると思われていましたが、事実上の「第2波」の拡大が懸念されています。これからを見据えて、コロナによって変わったもの、変わらなかったもの、そして働き方の変化について考える秋になりそうですね。
コロナという感染症自体は痛ましい病理ですが、奇しくもこれによって、私たちは見つめなおし、考えをあらため、行動をかえ、あり方が変革される契機になりました。多くの人が傷つき、場合によっては亡くなるという惨事はもとより二度と見たくないですが、世の中は確実に変化し、時代は次の景色に向けて進みはじめています。

働き方という視点に着眼すると、アフターコロナ―、ポストコロナはどんな時代になっていくのでしょうか?

1人でいるよりもたくさん集まった方がいい。メールやオンラインより実際に会った方がいい。自宅では仕事にならないから環境が整ったオフィスがいい。地方で細々と頑張るよりも都会に出て行った方がいい。
ひと昔前までは、これらは疑いのない“常識”でした。
 
 
ところがコロナによって、いろいろなものが様変わりしてしまいました。
とにかく“三密”を避けなければならない。可能なかぎり在宅勤務を徹底して、なるべく外出しない方がいい。出社してもできるだけ人との接触を避け、ひとりで仕事できる環境を整えた方がいい。できるだけ東京や大阪には行かず、地方で仕事していた方がいい。
昨今の風潮は、こんな感じでしょうか。
これはもう、予定や段取りが狂ったというより、時代が変わったのだといえると思います。
 
私はこのように考えています。コロナは、結果として今までの「壁」をぶち破るかもしれない。具体的には、以下のような壁の高さが低くなり、しだいに融解
していくかもしれないと思います。
地域
空間
職業
年齢
コミュニケーション手段
タイムマネジメント
性別・・・
 
 
地方に居住して仕事をしている人にとって、今までは東京や大阪といった都会との距離や格差が大きな「壁」でした。ビジネスマンや経営者にとって都会にいないことはリスクであり、チャンスロスでした。
ところが、コロナによって確実に状況が一変しました。地方でも都会と同じように仕事ができるし、むしろ三密を避けるリスク回避になるというメリットを享受することができるからです。
つい先日の報道では、首都圏の人口が微減に転じ、ビジネス上の拠点展開にあたってあえて東京や大阪を避ける動きもみられるといいます。
この流れは、一過的なものではなく、コロナが落ち着いてからも徐々に浸透していくかもしれません。
 
空間についても、同じことがいえます。
従来は、会社に出社して仕事をするのが“常識”で、オフィスにいないと効率的に仕事はできないという考え方が普通でした。少なくとも、自宅や出張先ではできないことがあったし、それ以上に相手方に失礼だという意識もありました。
今でそのような感覚はかなり薄れ、むしろ三密を避けて自宅や社外で仕事を進めることが顧客目線にかなう手法だという意識が共有されつつあります。
職業や年齢、コミュニケーション、タイムマネジメントについても、おおむね同じようなことがいえるのではないでしょうか。
 
 
私は、これからは会社が社員の働く場所や仕事の進め方、行動をしばる時代ではないと考えています。
参考:「ポスト・コロナウィルスの人事労務は2極化する
 
このような見立ては、そもそも長い目で見ればこれからの時代の潮流だったと思いますが、コロナによって奇しくも変化の速度が早められたように思います。
これから10年、20年というスパンの中で、間違いなく人間の労働が相当な範囲でAIに取って変わられる時代が近づいていきます。その中にあって大切なのは、人間にしかできない労働をすること。
従来の労働法の考え方や労務管理の発想は、働く人の場所や行動を縛ることに軸が置かれていました。ところが、テレワークやリモートワークの普及によって
このようなあり方も急速に変容してきています。
 
 
時代を先取りして社員に大幅に権限を与え、裁量の余地を与えている会社の中には、コロナ禍の中においても業績が拡大しているケースも少なくありません。
1人のリーダーが強いリーダーシップを発揮し、社員たちを引っ張る時代は終わりつつあるのではないでしょうか。
労働法の枠組み自体が見直しをされるのはしばらく先にしても、徐々にしかし確実に新しい時代が近づいてきているように思います。