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ナデック通信

2021年
1月号

「アフターコロナ」に向けた2021年がスタート!

新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
コロナの脅威と試練に苦しめられた一年が終わって、新たな年を迎えました。今年が希望溢れる輝く一年になりますことを心から祈ります。
今年は昨年のコロナ禍からの脱却がテーマとなり、中小企業の雇用や経営を取り巻く環境も大変厳しい年になると思いますが、地域や業界の皆様のお役に立てますよう尽力いたしますので、よろしくお願いいたします。
コロナの時代は私たちにさまざまな問題提起をしてくれたと思います。良い意味でも悪い意味でも、従来の仕事やお金との向き合い方が変貌してきているといえます。頑張って仕事で成果を出した人が認められ、社会的にも金銭的にも高い評価を受け、文字どおり人生の成功モデルとなる。こんな当たり前のようなことが、必ずしも不変の常識ともいえなくなってきています。
 
昨年春の緊急事態宣言では初めて国策として国民の経済活動全般が制約される状況となりましたが、このような事態に直面した私たちは、働くことの意味、経済活動・生活基盤とプライベート・健康とのバランスなどについて、真剣に向き合うことになりました。
日本では働き過ぎによる過労死や過重労働が深刻な社会問題となり、ジェンダーギャップによる女性活躍推進の必要性が強く叫ばれ、行き過ぎた中央集権による大都市と地方との格差の拡大の解消、デジタル化の遅れによる社会基盤の整備などが求められてきましたが、奇しくもこれらのテーマはコロナによって形を変えつつも加速しつつあります。
ワークライフバランス、年齢差別、性差別、地域間格差の解消といった課題は、スローガンとしては総論賛成的なコンセンサスが得られていると思いますが、いざ具体的に実践するとなると、現実の経済活動や生活水準を犠牲にするわけにはいけないというリアルに直面して、なかなか思うように時代の駒を前進させることができなかったといえます。
このような意味では、誇張を恐れずにいえばコロナはある種の“黒船”的な側面があるのかもしれません。一刻も早く例外なく私たちを襲った難事を克服して次の時代を迎えたいものですが、同時に今の時代にこのような試練が訪れたことのメッセージ性とも真剣に向き合っていきたいものです。
 
 
2021年の年明けにあたって必要なのは、理念と目的の再確認だと思います。企業にはそれぞれ経営理念があり、個人にも人生におけるミッションがありますが、“危機の時代”は目の前の困難や試練と向き合うあまり、物事の本質を見極めたり、大局的な展望を見通したりすることが疎かになりがちです。
こんな時代だから先が見えないから自分や自社の身を守ることだけに専念しようと考えるのではなく、あえて社会人としての初心や創業の理念に立ち戻って、世の中のために社会のために自らが何をなすべき存在なのかという“原点”を再確認してみたいものですね。
コロナは人々に不安と恐怖をもたらし、行動の自由を奪い、経済活動にも制約を与えました。一方で、仕事をする場所や方法、年齢や性別、雇用形態や役職などの縛りが変容し、多様化と流動化に向けた潮流が芽生え始めました。ここで求められるのは、理念と目的だと思います。
思えば、私たちは男性と女性の役割意識や生涯の仕事との関わり方について、数々の屈折を経つつも根本的には“昭和モデル”からの脱却を図ることができていないのかもしれません。今までの慣習や固定観念からある程度自由になって、“原点”に立ち返る機会が今の時代だと考えることができるのではないでしょうか。
 
 
労働法の世界に目を転ずると、2021年もさまざまな改正が予定され、改正への議論が深まることになります。「同一労働同一賃金」は、4月から中小企業も含めて全面施行されますが、昨年10月の最高裁判決の結果を踏まえて、具体的に中小企業の非正規雇用の待遇を整備していくことが急務となるでしょう。その他、今年の主な改正点には以下のものがあります。

1月~ 子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得
3月~ 障害者の法定雇用率の引き上げ
4月~ 同一労働同一賃金の施行(中小企業)、70歳までの就業機会確保の努力義務化、中途採用比率の公表義務化(常用雇用労働者数301人以上の事業主)

 
育児・介護休業法における看護休暇や介護休暇は、従来は半日単位での取得が原則でしたが、1月からすべての労働者が取得できるようになります。また、高年齢者雇用安定法の改正では70歳までの就業機会確保措置が努力義務とされ、①定年延長、②定年廃止、③継続雇用制度、④70歳まで継続的な業務委託契約、⑤70歳まで継続的に社会貢献事業などに従事のいずれかを実施するように努めなければなりません。
派遣法については省令や指針の改正が、1月と4月に相次いで施行(適用)され、派遣労働者の雇入れ時の説明や派遣元管理台帳、派遣個別契約など実務に直結する改正点が多くスタートすることになります。そして、表にはありませんが、4月から36協定の様式が新しくなり、過半数代表者の選出についてのチェックボックスが新設され、電子申請が可能となります。
現在のところ労基法などの大型改正は予定されていませんが、通常国会で審議される予定の改正も複数あり、コロナの影響による諸法令の運用の見直しなどの可能性もあることから、今年は昨年に引き続き働き方のダイバーシティに向けた変化と変動の一年になりそうです。
 
 
コロナショックを経て新たな時代が始まる2021年。とりわけ中小企業経営者は、業績を維持し雇用を守ることはもとより、創業の理念の“原点”を振り返って、再構築の時代の展望を描く一年にしたいものですね。「アフターコロナ」の時代だからこそ、今までとは意味が異なる変化の時代の中で、世の中のために社会のために自らが何をなすべき存在なのかについて、明確に意識し実践していきたいものです。