メディアでも労働時間の2024年問題がクローズアップされていますが、コロナ禍がある程度収束したことで、長時間労働の弊害が顕在化しつつある中で、過重労働をめぐる実務対応がことが大きなテーマになっています。
昨年から行動制限が解除されたことから、労働基準監督署の調査も増えつつあり、実際に毎日のように多くの事業所が対象となっています。
監督署の調査には、
①定期監督(定期的な計画に基づいて実施)
②申告監督(労働者等の申告に基づいて実施)
③再監督(指導の是正状況を確認するため実施)
の3類型があります。
いざ調査を受けるという場面では、まずこのいずれかを確認することが大切です。
一般的には、定期監督よりも申告監督の方が緊急性が高いため、期日に余裕がなく、強力な権限で行われることが多いです。過重労働の撲滅は国策ともなっているため、長時間労働が問題となっている場合は特に注意する必要があるでしょう。
監督署の調査は、労働条件通知書や就業規則などの書類や帳簿を確認することにより行われるのが基本です。特に、
賃金台帳
出勤簿(タイムカード)
36協定(時間外・休日労働協定)
の3点が重点的にチェックされます。
ひと通りの調査が終わって、法令違反が確認された場合は是正勧告、それ以外の改善事項があった場合は指導票が交付されます。いずれも是正内容をまとめて、期日までに監督署に報告書を提出します。
残業を自己申告制にしているなどでタイムカードと給与明細の内容に違いがある場合や、36協定もしくは特別条項(時間外労働の限度を超える場合)が適正に締結・届出できていない場合は、厳しい目線で社内体制を構築する必要があるでしょう。
調査は3か月とか1年といった過去の一定の期間が対象となるため、基本的にはありのままの状況をチェックしてもらうことしかできません。調査にあたっては、監督官の指摘に真摯に耳を傾け、内容に不明な点があれば納得できるまで確認することが大切でしょう。
弊事務所でも、さまざまな業種業態の事業所さまから頻繁に労働基準監督署の調査についてのアドバイスや立ち合いなどを行っています。少しでも悩むことや迷うことがある事業所さまは、お気軽にご相談ください。