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~記録を残すこと~

~記録を残すこと~

昨今、「記録を残す」ということに関して、前向きと言ってよいか分かりませんが昔ほど抵抗がなくなってきたように思います。監視カメラやドライブレコーダーなどがその典型的なものではないでしょうか。悪事に利用する人もいるかもしれませんが、基本的には自己防衛のために使用している場合がほとんどでしょう。ボイスレコーダーやメールのデータの保存などもそれに入ると思います。

また、契約書や台帳その他の書類で記録、保管が義務付けられているものなどもあります。思い返してみると、ある程度の年齢の方は、大昔に働いていた会社で書面での明示などが適切に行われていた定かではなく、口頭でのやりとりで物事が進むようなこともあったという記憶があるかもしれません。

もちろん、記憶から抜け落ちている、書面で提示されていたがきちんと見ていなかったので記憶していないなどもあると思いますので、すべての事象がそうであったとはいえませんが、そもそも民法の世界では契約は口頭でも成立しますので、その視点だけでいけば問題はありません。しかし、法律上の義務である場合もあり、世の中には「いった」「いわない」の水掛け論になることも考えられます。

 

アルバイトの場面で考えてみます。面接時に口頭で、時間や給与、業務内容についての説明を受けてその日は終了、後日採用の連絡があり、〇日〇時から来てくださいと伝えられそれに承諾したとします。労働条件の通知は、契約の締結の際に原則書面で通知する必要があります。これは、内定においても同様に考えます。(個別の状況により内定と判断されないケースもありますが、ここでは就業が決まっている前提です)。

となると、契約は両者の同意によって成立しますので、電話で採用の通知、承諾があった時点で契約が成立したと考えられます。したがって、この時点、もしくはそれより前の時点で明示(交付)の義務があったことになります。でも、雇用契約書のような場合はどうでしょうか。こちらは書面で契約を結ぶことは義務とされていませんのでなくても問題はありません。

 

では、この状況ではどのような対応が必要となるかを考えてみましょう。

 

1.面接時に書面にて通知をする。(前提を覆す形となりますが)

これであれば後日採用になったとしても労働条件の明示の義務について問題になることはないと思います。できれば、受領についてサインをもらうことで言った言わないの話になることが避けられでしょう。

 

2.採用決定に際しあらためて雇用契約を締結する。その際に労働条件の明示を書面にて行う。

つまり、就業の意思がある場合は再度来ていただいてそこで契約を結ぶこととなります。労働者となろうとする方にとっては、考える時間もできますし、あらためて書面にて労働条件も確認できます。雇用契約書と合わせていただければ受領のサインにもなります。

 

3.労働者が希望した場合は、採用通知の際にメール等で通知(出力して書面を作成できるものに限る)。

相手方の希望を聞くとともに出力できるかの確認も必要です。

 

4.就業初日に労働条件を通知する。

これについては、内定している場合は通知義務違反に問われる可能性があるのでおススメできません。

 

 

労働条件の明示(通知)は義務ですが、これも記録と言えますし、雇用契約書を交わすことも記録として残ります。そうすることで、双方がより適切に物事を進めるように意識できると思います。

採用の場面とは逆に、退職の場面での記録はさらに重要度が高いでしょう。自己都合なのか会社都合なのか、辞めるよう迫ったのか、なにもいっていないのか、これらのことに関してすべて書面や記録に残すことは不可能に近いと思います。多くの場合、勘違いや思い違いが潜んでいます。1つ1つ確認できていれば、していればというようなことあります。法的な義務を除けば、記録を残すことがマストではありません。

 

しかし、よりベターであることは間違いないでしょう。抑止力として意識することで物事が良い方向に進むのであれば不正解ではないと思います。なにを、どのように、どの程度、残すのか、それらを整理し、整えることで、労使にとってよりよい就業環境を作ることができるのではないでしょうか。

そういったことに不安がある事業所様は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。