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ナデック通信

2016年7月号

こんな「定額残業代制度」は危ない!

古くて新しいテーマですが、このところ残業代をめぐる問題が注目されています。つい先日も岡山の農協で3億円もの残業代請求の訴訟が提起され、大きなニュースになりました。

正職員の3分の2にあたる200人を超える人たちが提訴したということですから、あまりにも深刻です。こうなると、残業代をめぐる実務というより労使の信頼関係の問題ですね。

残業代の問題というのは、どこの職場で起こってもおかしくない出来事であり、なおかつ無意識のうちに潜在的なリスクが発生しているというケースも少なくありません。

労働基準法上はもちろん1分単位で残業時間を把握して、当然のことながらそれに見合った残業代を支給しなければなりません。ただ、現実の問題としてこうした管理が難しい業種業態も世の中にはあります。

働く人の権利という意味はもちろん、事業の健全な発展のためにも、残業代をめぐってしっかりとした意識と体制を構築することが、経営者に課せられた責任だといえるでしょう。

視点は少し変わりますが、最近は「定額残業代」をめぐる話題も多いです。一定の時間分の残業代をあらかじめ定額で支給する「定額残業代」制度は労使ともにメリットも大きいですが、運用等をめぐるトラブルも少なくありません。

「定額残業代」については労働基準監督署からの是正指導も多発していますが、個別労組からの団交申し入れや訴訟等にまで発展するケースも少なくなく、より問題が深刻化する傾向にあります。

今回、『企業実務』(日本実業出版社)7月号に、代表小岩の論考「こんな『定額残業代制度』は危ない!」が掲載されました。
 
 

 
 
内容は、以下の通りです。

・定額残業代に求められる3つの要件
・定額残業代が否定された場合のリスク
・適正な制度運用のために押さえておきたいポイント

これらの視点を踏まえて、「定額残業代」制度の問題と対応策について、少し考えてみましょう。

「定額残業代」には、次の3つの要件(要素)が求められるとされています。

(1)時間外手当の趣旨で支給されている(対価要件)
(2)時間外手当と通常の賃金の部分とが明確に区分されている(明確区分性)
(3)不足額を精算する「合意」ないし「取扱い」がなされている

ごくごく簡単にいえば、(1)はそもそも残業代という趣旨で支払っていること。(2)は残業代と基本給がはっきりと分けられていること。(3)は実際の残業代に不足があったときは差額を精算すること。

どれも当たり前といえば当たり前のことばかりですが、実際には(1)~(3)を完全に満たしているケースばかりではなく、むしろいずれかの要件をクリアしないことも多いものです。

特に(3)に関しては、ある最高裁判決での裁判官の補足意見が、経営側にとても厳しいものであったことが、今でも実務の現場に影響を与えています。

それは、毎月の残業代の具体的な「時間数」と「金額」を必ず労働者に明示しなければならない、という考え方です(テックジャパン事件、最高裁、平成24年3月8日、櫻井龍子裁判官補足意見)。

判決文ではない裁判官の補足意見には法的な拘束力はありませんが、この考え方はその後の裁判例にも引き継がれているため、実際には無視はできない内容になりつつあります。

「定額残業代」について具体的な「時間数」と「金額」を毎月、労働者に明示していくことは実務的にも負担を伴うと思われますが、何らかの対応を講じる必要があるというのが現実です。

具体的な方法としては、就業規則(賃金規程)での規定と給与明細での明示があります。

①就業規則(賃金規程)での規定

「定額残業代」の対象となる「時間数」と「金額」を明示しましょう。いずれも明示することができないときは、雇用契約書(就業条件明示書)で明示しましょう。

②給与明細での明示

「定額残業代」に該当する手当と、不足額を差額精算するときの残業代とは分けて記載しましょう。さらに、時間外、休日出勤、深夜に該当する部分もそれぞれ分けることが望ましいです。

いずれも実務的にはそう簡単ではありませんし、労働時間管理や賃金支給の実態によっては必ずしも一元的な取扱いを行うことができないこともありますが、「定額残業代」をめぐる実務対応のハードルが上がりつつあることは事実です。

ぜひ、自社の労務管理を行う上での参考にしていただきたいものです。

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