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ナデック通信

2015年8月号

名古屋一のホテル支配人に学ぶ人材育成術とは?

先日、週末を利用して名張市に行ってきました。ここ最近は講師役で尾鷲方面に行くこともあり、伊賀方面にも顧問先がありますが、名張は久しぶりでした。

元ホテルアソシア名古屋ターミナルの総支配人の柴田秋雄さんのドキュメンタリー映画「日本一幸せな従業員をつくる!」上映会&トークショー。

仲間に勧められて参加しましたが、期待通りの素晴らしい会でした。

労使関係を超えた人と人との向き合い方、本当の意味での企業の成長のあり方について、心からの気づきをいただきました。

 

 

「人こそが企業の宝」。このように語る人は多いですし、異論を唱える人はまず少ないと思います。

ただ、これを実践しようと思うと難しいし、具体的にどうやったらよいのか分からない。

そして、企業の業績をグイグイと牽引していくようなやり方で、人材育成を考えるのはまさに難事にほかならない。

多くの人が、このように考えていると思います。

背中を押してくれるようなドキュメンタリーにはあやかりたいと思うけど、どこか真実味が欠けるところがあるのではないか、と感じる人も多いはずです。

私も、最初は少しそう思っていました。

 

 

ところが、柴田さんというのは、そういった見方が一瞬で消え去ってしまう、人間味をお持ちの方です。

柴田さんいわく、「こんなのは、ほんとはドキュメンタリーじゃない。最初は内々にDVDに撮るという話しだった。だから、まったく飾らず、僕はパジャマ姿まで出てたりする(笑)。あとになって、映画にしたいって聞いて、最初は猛反対した。今でも、自分自身が泣き叫んでしまうから、講演会でもドキュメンタリーは観ることができない」。

このように言われると、思わず引き込まれてしまいます。

 

 

ドキュメンタリーでまず描かれたシーンは、障害で耳が不自由な従業員さんと柴田さんとのやりとり。

耳が聞こえないことでお客様にうまく対応できず、何度もクレームを受ける彼女の存在を柴田さんは真正面から受け止め、まわりの従業員に支えることを教えていく。

満面の笑みでお客様と向き合う彼女は、とにかく真っすぐな気持ちが伝わる姿であり、誰もが「こんなふうに対応されたら心が安らぐ」と感じるような絵でした。

「障害者というのは、私たちに大切なことを教えてくれる存在だ。私たちが彼らに感謝されるのではなく、むしろ私たちが感謝しなければならない。残念ながら身体は健康でも、逆に生き方として障害者だという人もたくさんいる」。

となりの駅直結の高層ビルに高級ホテルがオープンし、業績が徐々に低迷していっても、柴田さんは決して諦めませんでした。

「業績が厳しい。だからこそ、建物や設備ではなく、人に投資しよう」。

 

 

このように語る柴田さんの決意は、建物や設備をリニューアルしてこそ数字が作れるというホテル業界の常識に真っ向から反するものでした。

正社員はもとより、契約社員、パート、アルバイトまでが全員参加する研修や勉強会をきめ細かく実施し、すべての従業員の想いを集約する形で、ホテルの理念を一から積み上げました。

全体ミーティングの場で、パートやアルバイトが代表取締役に直接意見ができる雰囲気の構築。

これがじわじわとホテル全体の業績を押し上げ、ついには客室稼働率が名古屋地区ナンバーワンの存在にまでなったのです。

「うちの採用試験には、学力試験はない。となりの高層ビルのホテルには、放っておいても一流大学の学生が集まってくる。言葉は悪いけど、イケメンも美人も集まってくる。うちには、そういう人はまったく来ない(笑)。だから、面接だけで採用するしかない」。

 

 

このように語る柴田さんの言葉はもちろん謙遜であって、実際には面接によって人を見抜く力、個性と持ち味を生かす力、チームで仕事をすることで全体を引き上げる力が、とんでもなく高いのです。

ある一人の優秀な人材が会社を引っ張るのではなく、みんながチームになって支えあい、だれがどんなミスをしたとしても、必ずみんなで助けあい、自然に補いあっていく。

こんな取組みがそれぞれの意識を無理なく引き上げ、全体としてたくましく目標を追いかけるチームを生み出していくのです。

 

 

領収書を書くのに、お客様から「前株で」といわれて、宛名に「マエカブ」と書いてしまった女性。

お客様から「おあいそ」といわれて、お客様のテーブルで満面の笑みで「愛想」を振りまいてしまった男性。

こんな笑うに笑えないようなトピックが、柴田さんのトークショーでは紹介されました。

でも、ここからドラマが始まるのが、彼らの本当の力強さだったのです。

だれも必要以上に責めることなく、自然に助けあい支えあうことで、なにより本人に自信をつけさせる環境に近づけていく。

これを支配人という立場でどこまでも温かく見守り後押しし続けた柴田さんは、もとより職場でだれもが信頼を寄せる存在でした。

ここに、名古屋一の業績へと引き上げた本当の力が宿っていたのだと思います。

 

 

アソシア名古屋ターミナルの1階のラウンジも、地域ナンバーワンの稼働率を誇り、常に満員の活況を呈していました。

2000年の東海豪雨のとき、名古屋駅周辺は帰宅できない人たちが殺到し、地べたに雑魚寝するしかない人たちであふれ返っていました。

こんな状況をみて、ホテルは緊急ミーティングを開き、従業員の意見を集約しました。

ここでの答えは、「帰宅できない人たちのために、ホテルを解放する」でした。

ほとんどのホテルや飲食店が、お客様に迷惑がかかるという理由で閉店時間を前倒ししたり、何らかの規制を行っていた中で、世間の常識からすればあまりにも奇抜な決定でした。

ラウンジはの波で人で埋め尽くされ、廊下や踊り場まで人が押し寄せました。

こんな状況に従業員たちは目をそむけるのではなく、むしろ連携を深めて支えあったのです。

料理長は笑顔を浮かべて、「この日は今までで最高のスープが作れた」と語りました。

夜を徹して準備されたスープが、翌早朝にふるまわれました。

子どもからお年寄りまで、目に涙をためて「ありがとう」といいました。

このあと、お礼の手紙やメッセージがホテルに殺到したことはいうまでもありません。

 

 

 

次第に高い学歴や経歴の持ち主が入社するようになりましたが、「仕事に頭の良い悪いは関係ない」と柴田さんは力説します。

こんな柴田さんを慕うアルバイトの中には、「今すぐでも大学を辞めて、ホテルに入社したい」という人が複数出てきました。

地域ナンバーワンの大学を中退したいという人もいたことから、「僕はだんだん親御さんに恨まれるようになった」といいます。

もちろん、こんな人たちの期待と行動を柴田さんは裏切ることはなく、最終的には両親にも認められる立派な職業人に成長していきました。

「仕事は学力ではない」と考える人は多いですが、ここまで徹頭徹尾その精神を貫き通す人は多くないと思います。

文字通り公私ともに「実の父親のように」接する柴田さんは、数多くの従業員から結婚式、披露宴に主賓に招かれますが、今までだれ一人として離婚に至ったケースはないといいます。

 

  

 

もともと柴田さんは、JR東海で労務部門や労働組合の責任者として活躍し、その経験と手腕を買われてホテル業界に迎えられました。

そういったバックボーンが余すところなく生かされた例という点でも、本当に学ぶことが多いと思います。

労使関係というと会社と労働組合(労働者代表)が対立する構図を思い浮かべるものですが、そういった視点は本質的ではないということを改めて痛感させられます。

そして、実際の経験と行動に学ぶことの大切さを心から思い知らされます。

 

 

終了後は、柴田さんからサイン&握手をいただき、少しお話しすることができました。

真夏の晴れ晴れとした晴天の週末に、名張まで行って良かったです。

しっかりこれからの仕事にも生かしていきたいものです。

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