三重県の社会保険労務士法人ナデック

初回相談無料!まずはお気軽にナデックまでお電話ください。

三重県の労務問題、労使トラブル、行政対応、研修講師ならナデックへ。

059-388-3608
受付時間 10:00-18:00
HOME ナデック通信 今だからこそ復習したい派遣法のキホン!
a

ナデック通信

2021年
7月号

今だからこそ復習したい派遣法のキホン!

最近、派遣法についてのセミナーや勉強会の講師を担当することが多いです。こんなご時世ですからオンラインが多いですが、緊急事態宣言やまん防が解除されてからはリアルに登壇することも増えてきました。最近の傾向としては、公的機関や業界団体などからの依頼もさることながら、派遣元や派遣先の社内での勉強会のニーズが多いと感じます。ここしばらくの派遣法改正や派遣労働者の同一労働同一賃金、コロナ禍への対応の「例外的取扱い」、そして事業報告書の「別紙様式」などあまりに変更点や留意点が多いため、派遣元責任者や担当者はともかく現場がついていかないというのが実際なのかもしれません。派遣事業は幹部や担当者だけでなく現場の理解と協力があって始めてコンプライアンスを確保することができるため、目まぐるしく変わっていく情報や知識をしっかりと社内で共有することはとても大切です。
そんな中、いくつかの現場でお話しをしていていただく声で多いのは、「とにかく派遣法の基本について教えてほしい」「最近の改正点も知りたいけど、それ以上に基礎のキソについて現場に分かりやすく話してほしい」というものです。今は難しい法律の改正情報などもオンラインでタイムリーに入手できる時代ですし、たとえば派遣労働者の同一労働同一賃金などについてはさまざまな専門家から数々の情報発信がされていると思いますが、それらの情報や解説を目にしたり耳に入れたりしつつ、ややもすると「消化不良」に陥っている人が少なくないと感じます。派遣法はとても難しいですし、とにかく改正が多くて複雑ですが、より人々を悩ませ頭を抱えさせているのは、次々に改正されたり変更されるテーマについて、時系列にしたがって一つひとつ丁寧に理解していかないと、いくら最新情報をつかんでも全体をとらえて実務対応することが困難である点だと思います。
 
たとえば派遣労働者の同一労働同一賃金を適用するために実施した労使協定の内容を見直したり、令和3年度の省令・指針の改正に従って派遣契約や派遣元管理台帳、マージン率等の情報提供などの実務に対応したり、派遣労働者や派遣先との間のトラブルなどをめぐって会社がさまざまな判断が求められる場面でも、最新の法改正の内容を把握していなければならないことはもちろんですが、具体的にはそれ以前の法改正の流れを正確につかんでおかないと対応できないことが多いです。労働局の調査などの指導監督でも、派遣労働者の同一労働同一賃金の実施状況などが確認されるとともに、それ以前の改正である平成24年や平成27年の改正内容がストレートに問われる場面が少なくないといえます。令和3年度の地方労働行政運営方針でも雇用安定措置などの従来の改正内容が改めて重点項目とされ、実際の調査における指導票などにも平成24年や27年の改正について指摘される場面が多々見られるのが現実です。
派遣元での勉強会などでの質問や現場からの声で多いのは、「現場の派遣労働者からの疑問に正確に答えたい」「派遣先からの要望や質問にしっかり対応したい」というものです。派遣元責任者や派遣元の担当者は多くの場合、法律的な知識や実務経験がありますが、それが派遣労働者や派遣先に正確に伝わるかどうかという点は必ずしも知識の正確さや経験の豊富さばかりで決まるのではなく、派遣労働者や派遣先との人間関係やコミュニケーションのほか、広く派遣法全般についての見識があるかどうかによっても左右されます。最近は派遣労働者や派遣先もさまざまな方法を通じて法律的な知識を持っていることが多いですが、その分、派遣元に求められるのは単純に正確な知識や情報というよりは、個別の事情に対応するための現場の知恵だったり、逆に事業全体を見通した俯瞰的なアイデアや提案だったりします。
 
私も何度も登壇していますが、法定の派遣元責任者講習では、約1日をかけて幅広く派遣制度全般の基礎知識や過去の法改正の体系、関連する労働法の周辺知識などについて講義をします。テキストはどの主催団体のものでもそうですが、直近の改正内容以上に平成24年、27年改正の内容がボリュームを占めています。厚労省の方針や実務対応の現場感からしたら、当然のことだといえます。具体的なニーズも多いので、私はこのうち改正法の部分を凝縮して1時間半ほどでお話しする機会が多いですが、リアルでもオンラインでも好評です。最新の改正内容よりも圧倒的に過去の改正内容になりますが、毎回のようにたくさんの質問などがあります。今なお平成24年、27年改正が派遣法の骨格だと痛感します。同一労働同一賃金ももちろん大事ですが、過去の改正の蓄積を基本に忠実に理解していくことの大切さを私自身も毎回のように教えられています。例えば、平成27年改正については、以下のような内容となります。
 

(1)労働者派遣の期間制限の見直し
・派遣先事業所単位の期間制限
・派遣労働者個人単位の期間制限
・「事業所」「組織単位」の定義
・期間制限の例外
・いわゆる「クーリング期間」について
(事業所単位の期間制限、個人単位の期間制限)
(2)雇用安定措置
・雇用安定措置とは
・雇用安定措置の対象者
・雇用安定措置の実施手続き
(3)キャリアアップ措置
・キャリア形成支援制度
・キャリアコンサルティング
(4)労働契約申込みみなし制度

 
 
このような活動の一環として、先日弊社の小岩と山野が収録したセミナーが、出版社から発売されることになりました。まもなくアマゾンでもDVDが購入できるようですので、気になる方はご覧ください。
 

令和3年版 労働者派遣をめぐる最新情報と実務対応(S237)[日本法令セミナーシリーズ] DVD-ROM – 2021/7/7