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ナデック通信

2019年
4月号

「労働者派遣事業業務取扱要領」が公表されました!

新しい元号が「令和」に決まりました。4月に入って、どこに行ってもこの話題で持ち切りですね。
人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ。
日本人が明日への希望を咲かせる国であるように。
万葉集から引いた言葉だといいますが、未来に向けた日本人の心が映し出されているようで、素晴らしい元号だと思います。
これから次の元号に向けての1か月は、まさに時代の変わり目ですね。
充実した日々にしたいものです。
そんな中、厚生労働省から「労働者派遣事業業務取扱要領」が公開されました。
「働き方改革関連法」が今月から本格施行されるのにあわせて、労基法のQ&Aなども続々と出されていますが、まさに年度末、年度初の情報ラッシュです。
この「業務取扱要領」は、派遣元、派遣先にとっては、致命的に重要なものですが、メディアなどでもまったくと言っていいほど注目されていないのが不思議なくらいです。
今回は更新(公開)されたのが3月29日の夕方だったので、週明けまでご存じなかった人も多いのは仕方がないのかもしれません。
私もすぐにSNSなどでも発信しましたが、それだけで「ありがとう」といった声をもらいました。
やはり情報は鮮度が命ですね。
派遣法は難しいと言われますが、具体的な内容は法律ではなく、ほとんど「業務取扱要領」に書かれています。
今回ほぼ全面改訂となりましたが、ボリュームにして約420ページなので、
簡単に読める分量ではないと思います。
今月号では、業務取扱要領の内容や改正点について、要点をご紹介したいと思います。

業務取扱要領は、「第1 労働者派遣事業の意義等」から「第15 様式等」までの15項目と、指針関係から構成されていますが、今回改訂の対象となっているのは、「第6 労働者派遣契約」「第7 派遣元事業主の講ずべき措置等」などです。
いずれも大切な論点ばかりですが、改訂のコアとなっているのは、何といっても「第7 派遣元事業主の講ずべき措置」です。時間がない人はこれだけでも読むべきです(といっても、約80ページもありますが)。
このなかでも、「派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇の確保のための措置」の項目に重点をしぼってチェックすべきでしょう。
ポイントをいくつか挙げてみます。
 
 
・派遣元は、派遣先などから提供される「比較対象労働者」の待遇等に関する情報について、比較対象労働者が適切に選出されているかどうかを確認することが重要
・派遣元の派遣料金交渉が、派遣労働者の賃金も含めた待遇改善にとって重要であることに留意しつつ交渉に当たり、派遣料金が引き上げられたときは、できる限り派遣労働者の賃金の引き上げに反映するよう努める
・派遣元事業主は、過半数労働組合、もしくは労働者の過半数代表者との労使協定により、派遣労働者の待遇(福利厚生施設に係るものを除く)について、一定の事項を定めたときは、派遣先の通常の労働者との均等・均衡を確保するための措は適用しない
・派遣元が労使協定を締結した場合には、労使協定に基づき派遣労働者の待遇を決定することで、計画的な教育訓練や職務経験による人材育成を経て、段階的に待遇を改善するなど、派遣労働者の長期的なキャリア形成に配慮した雇用管理を行うことができるようにした
・労使協定は、派遣元単位または派遣事業を行う事業所単位で締結することが可能。ただし、待遇を引き下げることを目的として、恣意的に締結単位を分けることは、労使協定方式の趣旨に反するものであり、適当ではない
・労使協定には、以下の事項を記載しなければならない
①その待遇が労使協定で定めるところによることとされる派遣労働者の範囲
②派遣労働者の賃金の決定方法
③公正な評価に基づく賃金の決定
④賃金を除く待遇の決定の方法
⑤段階的かつ体系的な教育訓練
⑥その他の事項(有効期間、派遣労働者の範囲を限定する理由など)
・労使協定は、次のいずれかの方法により、雇用する労働者に周知しなければならない
①書面の交付
②FAX、メール
③ファイルなどの電子データ
④事業所への掲示、備付け
・労使協定を締結した派遣元は、事業報告書に労使協定を添付するとともに、協定対象派遣労働者の職種ごとの人数及び職種ごとの賃金額の平均額を報告しなければならない
・派遣元は、派遣先に雇用される通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する派遣労働者(一部例外を除く)の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案し、その賃金(職務の内容に密接に関連して支払われる賃金以外の賃金を除く。)を決定するように努めなければならない
・均衡待遇を確保する対象となる派遣労働者の賃金は、派遣先に雇用される通常の労働者との間において、職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該賃金の性質及び目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない
・通勤手当、家族手当、住宅手当、別居手当、子女教育手当その他名称の如何を問わず支払われる賃金(職務の内容に密接に関連して支払われるものを除く)については、職務の内容等を勘案した賃金の決定の対象外となる
・派遣労働者の「職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案し」とは、派遣労働者の働きや貢献に見合った賃金決定がなされるよう、働きや貢献を評価する要素である職務の内容、職務の成果、意欲、能力、経験を勘案要素の例示として挙げている
・「職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項」を勘案した措置の例としては、職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を踏まえた①賃金水準の見直し、②昇給・昇格制度や成績等の考課制度の整備、③職務手当、役職手当、成果手当の支給等が考えられる
・「派遣先に雇用される通常の労働者との均衡を考慮しつつ」とは、派遣労働者の職務の内容が同一である派遣先に雇用される通常の労働者だけではなく、職務の内容が異なる派遣先に雇用される通常の労働者との均衡も考慮することを指している
 
このあたりの点がポイントになると思います。
参考にしていただきたいものです。
 
 
◆          ◆          ◆
 
 
先月上梓させていただいた新刊『中小企業の「働き方改革」労務管理をスムーズに変える本』ですが、各方面で話題にしていただいています。
新聞や雑誌などでも取り上げられ、アマゾンのカテゴリーランキングでも、約1か月の長期間にわたって「第1位」にランキングされました。
貴重なご縁の数々に感謝しかありません。

小岩 広宣 著
『中小企業の「働き方改革」 労務管理をスムーズに変える本』
秀和システム / 1,620円 / 216ページ
https://www.nudec.jp/kaikaku
 
今月は、名古屋と三重の2会場で、出版記念セミナーも開催します。
第1回 4月13日(土) 13:30~ 三重会場(鈴鹿市文化会館)
第2回 4月20日(土) 13:30~ 名古屋会場(ウインクあいち)

 
新刊のテーマについて、分かりやすくお伝えするのはもちろん、公開されたばかりの「業務取扱要領」についても最新情報をがっつりとお届けする予定です!
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