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ナデック通信

2019年9月号

派遣労働者の賃金の「労使協定方式」について勉強しよう!

来春からの派遣労働者の同一労働同一賃金が話題になっています。

7月に「一般賃金」の通達が出され、8月1日に経団連の質問回答集が、19日には厚労省からQ&Aが公開されました。これで、法改正に向けた情報はひと通り出そろったといえるでしょう。

派遣元は、派遣先均等・均衡方式か、労使協定方式かを選択しなければなりませんが、そのための事実上の判断のタイミングが迫っています。

7月の通達は先月のナデック通信で紹介しました。経団連の質問回答集はセミナーへの回答であるため、概論的な内容とややマニアックな論点が入り交ざっています。その点、Q&Aは厚労省の公式な見解であり、バランスの取れた論点が盛り込まれているといえます。

今月はQ&Aを中心に、労使協定方式を採用する場合のポイントについて考えたいと思います。

・令和2年度の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第30 条の4第1項第2号イに定める「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」」等について
https://www.mhlw.go.jp/content/000526710.pdf


 
・「5月20日改正労働者派遣法説明会での質問に対する厚生労働省の回答」
http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/062.pdf

・「労使協定に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/content/000538206.pdf

8月19日に公開された労使協定に関するQ&Aは全38問、「1.労使協定の締結」「2.基本給・賞与・手当等」「3.通勤手当」「4.退職金」「5.独自統計」で構成されています。「1.労使協定の締結」についてはメルマガやブログでも触れていますので、ここではその他の論点について触れたいと思います。

2.基本給・賞与・手当等

問2-6 賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計に同様の職種がある場合(例えば、測量技術者等)、 どちらを選択すればよいのか。

答 賃金構造基本統計調査の職種については、「役職及び職種解説」において、職業安定業務統計の職種については「第4回改訂 厚生労働省編職業分類 職業分類表 改訂の経緯とその内容(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)」において、それぞれ職種の具体的な内容を解説している。 これらをもとにして、派遣労働者の業務がこれらの政府統計のいずれの職種と一致するのか、近いのかについて、労使で十分に議論し、比較対象とする職種を決定することが求められる。 なお、協定対象派遣労働者の賃金を引き下げることなどを目的に、職種ごとに統計などを使い分ける ことは労使協定方式の趣旨に照らして適切ではなく、認められないことに留意すること。

賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計はまったく属性が異なる統計調査ですから、当然に分類方法やカバーしている職種が異なります。ただし、同じ職種がある場合は、基本的にいずれを適用するかを選択することができます。

職種の実態と近いものを労使の信頼関係の下に選択するかぎりでは、特段の制約はありません。ただし、派遣労働者の賃金の引き下げが目的にされることは、当然ながら適切ではないとされます。

問2-8 能力・経験調整指数について、例えば、勤続が5年目の協定対象派遣労働者については、必ず 「5年」の指数を使用しないといけないのか。

答 能力・経験調整指数の年数は、派遣労働者の勤続年数を示すものではないため、ご指摘の場合に、必ず「5年」にしなければならないものではない。 例えば、職務給の場合には、派遣労働者が従事する業務の内容、難易度等が、一般の労働者の勤続何年目に相当するかを労使で判断いただくこととなる。 なお、待遇を引き下げることなどを目的として、低い能力・経験調整指数を使用することは、労使協定方式の趣旨に反するものであり、適当ではなく、認められない。

「能力・経験指数」と「勤続年数」は、もちろん同じではありません。この点は誤解している人も多いので、注意する必要があります。

ただし、派遣労働者の能力や経験を客観的にはかる基準や定義がない場合には、一般論として経験(勤続)年数に相応したものだと捉えられやすいので注意する必要があります。

問2-13 協定対象派遣労働者の賃金の決定方法について、職務の内容、職務の成果、意欲、能力、経験等の向上により賃金が改善されるものでなければならない、という要件(法第 30 条の4第1項 第2号ロ)があるが、例えば、職務の成果を勘案したときに、賃金が改善されないことは認められないのか。

答 法第 30 条の4第1項第2号ロは、職務の成果等の就業の実態に関する事項の「向上」があった場合 の対応として、賃金を改善することについて規定しているものであるため、公正な評価の結果、仮に職務の成果等の「向上」がないと認められる場合に賃金の改善が行われなかったとしても、同ロとの関係 で直ちに問題となるものではない。 なお、法第 30 条の4第1項第3号に基づき、職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を公正に評価し、協定対象派遣労働者の賃金を決定することが求められることは言うまでもない。

労使協定方式の本質に触れているQ&Aです。労使協定の対象となる派遣労働者は「一般賃金」の適用を受けることになりますが、それだけでは法定の要件を満たしていることにはならず、職務の内容や成果、能力などの向上にともなって賃金が「改善」されなければなりません。すなわち、昇給させることが必要ということです。

ただし、それらの改善がなかったと認められる場合は、必ずしも賃金の改善を行う必要はありません。その前提となるのが、「公正な評価」です。たとえ簡素なものであっても、人事評価制度等が適用されていないと、実態として「公正な評価」の結果とは認められがたいです。

改正前の段階から派遣労働者に評価制度を導入している例は必ずしも多くはないと思われますが、事実上の昇給に関する評価につながるため、この点は実務上も重要なポイントになります
 
 
 

3.通勤手当

問3-2 通勤手当を支払っていない場合に、一般賃金と同等以上の額を確保するためには、どうすればよいか。

答 通勤手当を支払っていない場合には、協定対象派遣労働者の賃金(退職金を除く。)の額が、一般基本給・賞与等の額に一般通勤手当「72 円」を加えた額と同等以上であることが必要である。

改正法でいういわゆる「通勤手当」相当は、現に通勤手当を支給しているかどうに関わらず適用されます。従来は派遣労働者に通勤手当を支給してしない例も多いと思われますが、その場合は基本給等の額に「通勤手当」相当分が含まれる必要があります。

問3-4 実費支給で通勤手当を支払っているが、例えば、派遣就業の場所と居住地の間の距離が1㎞ 未満である場合を「徒歩圏内」とし、通勤手当を支給していない場合、どのように取り扱えばよいか。

答 派遣就業の場所と居住地の間の距離が1㎞未満である場合を「徒歩圏内」として通勤手当を支給しないことを労使で合意し、その他の場合を実費支給している場合には、局長通知第2の2の(1)の実費支給と解される。 「徒歩圏内」の距離については、(人事院規則(原則として2㎞未満の場合には通勤手当は支給しない)等を参考にしつつ、)労使でご判断いただくものである。

「徒歩圏内」の労働者については一定の要件の下に通勤手当を支給しない取り扱いを認めるという常識的な内容です。労使の合意、実費支給という要件を課している点には留意したいものです。

問3-5 通勤手当を、「1~2㎞の場合は●円、2~3㎞は●円、・・・」と距離に応じて定額で支給 している場合、実費支給と取り扱ってもよいか。

答 通勤距離に応じて支払うものであれば、実費支給として認められる。ただし、支払う額が実費相当の額といえることが必要であり、不当に低い額で設定されている場合は、この限りでない。

通勤距離に応じた支給は認められるという常識的な内容です。一律払いという方法には一定の制約があることから、実務上も現実的な方法だといえるでしょう。
 
 
 
 

4.退職金

問4-1 退職手当制度により一般賃金と比較する場合、退職金の支給要件となる勤続年数の起算点は、 協定対象派遣労働者を雇用した時点、施行時点など、いつになるのか。

答 特段の定めはない。労使で十分に議論した上で退職金の支給要件である勤続年数の起算点を決定することが求められる。 なお、派遣元事業主が施行日前から退職手当制度を有しており、既に協定対象派遣労働者にも当該制度が適用されている場合においては、改正労働者派遣法の施行に合わせて勤続年数の起算点を後ろ倒しすることは、労働条件の不利益変更となり得ることに留意すること。

退職金の支給要件となる勤続年数の起算点は、現に退職金制度を導入している例がほとんどないであろう現実からすると、改正法施行日とするのが妥当でしょう。この点は、実務上もそれほど論点になるケースはないと思われます。

なお、厚労省から公開されている資料に「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(一般賃金)(法第30条の4第1項第2号イ)」がありますが、8月20日に以下のページが追加されています。

7月に公開された「一般賃金」の内容を受けて、派遣元の賃金テーブルの等級と一般賃金(基本給・賞与等)の水準(能力・経験指数)との関係が分からないという声も多かったため、イメージ図が追加されました。

かなり複雑で誤解しやすい点となりますので、しっかり確認しておきたいものです。
 

https://www.mhlw.go.jp/content/000538637.pdf?fbclid=IwAR12AUnEZtNeZ9JjAYyMLawnIhQm1IPSn-sKCoqz-8ek-mPNvTZ5Ko_h2O4

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