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外国人留学生に違法な労働 書類送検が相次ぐ

外国人留学生に違法な労働 書類送検が相次ぐ

 今月15日と17日に次のような報道がありました。いずれも、外国人留学生に違法な労働をさせていた企業が書類送検されたものです。  人手不足のこの時代、外国人留学生が貴重な人材となり得ることは間違いありません。どのような違反があり書類送検されたのか、確認しておきましょう。 ●今月14日、警察は、近畿地方で人気の飲食店において、外国人留学生らを不法就労させたとして、運営会社、同社社長及び店長ら計6人を、入管難民法違反(不法就労助長)の疑いで書類送検したとのこです。  送検容疑の概要は、平成27年9月~平成29年1月にかけて、同社の5店舗で、ベトナム人やネパール人の留学生ら17人を法定の上限の週28時間を超えて勤務させたというもの。留学資格では、週28時間しか働けないところ、最長で72時間働かせたケースもあったようです。社長らは「人手不足だった」などと容疑を認めている模様です。  なお、警察は、店で働いていた留学生らについても、入管難民法違反(資格外活動など)の疑いで、3人を逮捕、14人を書類送検したようです。  参考までに、留学生の就労制限(週28時間以下)などについて、こちらをご覧ください <外国人雇用に関するQ&A(東京労働局)> https://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/riyousha_mokuteki_menu/jigyounushi/13-01-19-4_test.html ※「週28時間以下」のルールのことは、Q4で取り上げられています。 ●今月16日、労働基準監督署は、高齢者介護事業や日本語学校を営む企業グループにおいて、外国人留学生を強制的に働かせ、違法な契約も結ばせていたとして、4つの法人とグループ企業会長ら5人を、労働基準法違反(強制労働の禁止、賠償予定の禁止)の疑いで書類送検したとのことです。  送検容疑の概要は、平成27年12月~平成28年6月にかけて、インドネシア人留学生がグループ内の日本語学校に通いながら介護施設などで働くという留学と労働が一体となった契約を結んだ上で、賃金から入学金や授業料などを控除。退学時の違約金(約36万円)も設定し、留学生を本人の意思に反して働かせたというもの。  法人側が留学生のマイナンバー通知カードも預かって、転職の自由を制限していたとの報道もあります。  なお、留学生の就労制限(週28時間以内)や最低賃金は守っていたということです。グループ企業側の弁護士は、「希望者に仕事をしてもらっていた。説明もしている」とし、違法性・不当性を否定しているとのことです。   参考までに、違反に係る労働基準法の条文を紹介しておきます。 〔確認〕強制労働の禁止(労働基準法第5条) 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。 ※この規定により禁止される行為は、暴行などに限らず、「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段として社会通念上是認し難い程度のものも含む」という旨の通達も発出されています。上記のような事例も含まれるということですね。  なお、労働基準法の罰則の中で、この強制労働の禁止違反の罰則(1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金)が最も重い、というのは有名な話です。 〔確認〕賠償予定の禁止(労働基準法第16条) 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。 ※最近、大手コンビニ加盟店が、この規定違反で書類送検されたことは、記憶に新しいところです。