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AIJの契約 80年金120件、中小が9割 昨年度末 ~厚労省調べ 資産3割投資も~

AIJの契約 80年金120件、中小が9割 昨年度末 ~厚労省調べ 資産3割投資も~

 約2000億円の企業年金資産の大半が消失していた問題で、AIJ投資顧問の2011年3月末の顧客構成がわかりました。企業年金は80を超えており、同一の業種や地域の中小企業が集まる「総合型」の厚生年金基金が約9割を占めました。なかには年金資産の3割以上を投じた基金もありました。中小基金では年金の積み立て不足が拡大するとみられ、どう穴埋めするかが焦点になりそうです。 【AIJに運用を委託した主な企業年金】 (カッコ内は運用資産に占める比率、%) 企業・基金 投資額 アドバンテスト 17億円(約8) 安川電機 5億円未満(2未満) 甲信越印刷工業 一部 北海道乗用自動車 15億円(8弱) 北海道トラック 20億円程度(約6) 福井県機械金属工業 4億円( 5) 新潟県機械金属工業 6億円強(約10) 京都府建設業 約15億円(約10) 長野県機械工業 10億円(約6) ※長野県建設業 約64億円(約34) (注)2012年2月24日以降に聞き取りした概算額です ※は日経が入手した資料に掲載された時価情報(2010年12月末時点)によります AIJの顧客構成は企業年金を所管する厚生労働省への取材で明らかになりました。同省が現時点で把握している同社と契約した企業年金は全体で84に上ります。このうち厚年基金が74を占め、残りは大企業を中心とする確定給付企業年金でした。  84の企業年金がAIJと結んだ契約は延べ120件程度。AIJは企業年金の受け皿として租税回避地の英領ケイマン諸島に3本の私募投資信託を設定しており、複数の私募投信に投資した「リピーター」の存在がうかがえます。AIJの資料によれば、1顧客あたりの投資額はほとんどが50億円未満となります。  大手企業ではアドバンテストや安川電機がAIJと取引していたことがすでに判明しています。このほか、高度な年金運用で知られていた大手の電機メーカーや情報通信企業などが名を連ねているもようです。  中小の厚年基金では、北海道内のタクシー会社60社強が加盟する北海道乗用自動車が15億円、運送会社約360社が加盟する北海道トラックは20億円程度を投じていました。新潟県内の中小企業約80社が加盟する新潟県機械金属工業は6億円強を委託しました。総資産の約1割に上るといいます。  長野県の約400社が入る長野県建設業は26日現在、AIJへの年金資産の委託について公表していません。ただ同基金の年金資産を管理する金融機関が作成した資料によれば、10年12月末時点で約190億円の運用資産のうち約64億円をAIJに投じていたとされます。運用資産に占める比率は約34%に達していました。同基金は現在もAIJへの投資を継続しているようです。  企業年金は運用難に直面している。08年秋のリーマン・ショック時の株価急落に伴う損失などの挽回を狙って、高利回り運用をうたったAIJに年金資産を委ねた事例が少なくありません。AIJは08年の金融危機時も安定した収益をあげていたなどと年金基金に説明していました。  84の取引先がAIJによる年金消失問題でどれだけの損失を被るのかはなお不透明。厚労省は厚年基金の運用について強制権限を持っていませんが、株や債券など伝統的資産以外に投資する「代替投資」の比率が3割を超える基金があるかどうかを調べたうえで、該当する場合には年金資産の運用状況を聞くなど対応を検討します。