製造業や運送業、IT関係の現場では、しばしばこんな質問を受けます。
「請負で仕事をしているのですが、作業員一人の現場の場合、その作業員が責任者を兼ねても、問題はないのでしょうか?」
多くの場合は、請負が労務管理上、それぞれの現場ごとに責任者をおかなければならないことをご存じの方からの質問です。
答えは、否です。
請負の場合、発注者が請負人に注文を依頼しますが、請負人の労働者への指揮命令はあくまでその責任者が行わなければなりません。
発注者が請負人の労働者に直接指示を出すことは、決して認められません。
この場合は、発注者から責任者への注文が、実質的に発注者から請負人の労働者への指示になります。
世にいう偽装請負の状態になるのです。
あの現場はいま従業員が一人しかいないから、特に責任者なんておいていない。
あるいは、その一人が作業員でもあり、責任者の役割も果たしている。
こういうケースが、まず健全な請負と認められることはありません。
ですから、いわゆる個人請負ではなく、請負事業者として業務を行っている場合、作業員一人の現場というのは、原則ありえないことになります。
今の派遣法は、ほどなく改正されるといわれています。
改正派遣法が成立すると、派遣先へのみなし雇用制度が盛り込まれるになります。
すなわち、偽装請負等の場合、派遣先(注文主)が労働者に雇用契約を申し込んだとみなされる制度です。
成立しても施行はしばらく先になることが予想されるとはいえ、十分に注意したいものです。