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ナデック通信

2019年8月号

派遣労働者の「同一労働同一賃金」について準備しよう!

派遣労働者の「同一労働同一賃金」はどうなるのか?
このところ、いろいろなところで話題になっています。

同一労働同一賃金については、大企業は来年4月から、中小企業は再来年4月から施行されますが、派遣法の同一労働同一賃金は一律来年4月からなので、そろそろ本格的に危機感を持つ人が増えてきています。

派遣法では、派遣先均等・均衡方式と労使協定方式のいずれかを選択することが求められますが、後者を選んだ場合には「一般賃金」と同等以上の賃金額が要件とされることになります。

その「一般賃金」の根拠となる職業安定局長による通知が、7月にようやく公開されました。

「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第30 条の4第1項第2号イに定める「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」等について

https://www.mhlw.go.jp/content/000526710.pdf

通知について、通勤手当が大きな関心事となり、退職金や賞与まで必要になるという点に話題が集中していますが、あくまで、原則の派遣先方式なのか? 例外の労使協定方式なのか? という選択が先です。

二方式に関しては、派遣先方式が原則というのは建前で、実質的には例外の労使協定方式しか選択できないのでは、という見方が強まっているといわれます。

実際問題として、派遣先方式は実務上のハードルが高いのは間違いありません。

まず、クライアントである派遣先から事細かな比較対象労働者の情報を受けるのが難しく、「派遣先方式なら派遣を受け入れない」と公言する関係者もいるくらいです。

また、派遣先が変わるごとに賃金や待遇が全部変わっていくことも、普通に考えたら相当にナンセンスだといえるでしょう。

そして、いろいろなところで事情を聴いていると、あまり大きな声ではいえませんが、国もある意味で協定方式をおしている部分があります。

派遣労働者のキャリアという観点から、協定方式の枠組みの中でキャリアアップの推進を強化していこうとする方向性がひとつの潮流になっていくことは間違いないでしょう。

これらのことを総合的に考えると、協定方式の選択肢が有力だといえそうですが、状況によっては派遣先方式も捨てがたいというのが実際だと思います。

もちろん、派遣先方式が使えるケースはそれなりの条件がそろっていないといけませんが、比較的小規模の派遣先であったり、派遣先の理解が得られやすい環境だったり、現場で就業する派遣労働者の利益が大きい場合には、派遣先方式がより有効に機能するといえるでしょう。

まもなく全国各地で労働局による改正派遣法の説明会が始まりますが、まずは基本的な知識を得て、派遣元と派遣先の現状をしっかり見極めながら、来春に向けての対応を進めていきたいものです。

改正派遣法について、触れておきたい論点が2点あります。

① 派遣法の「同一労働同一賃金」の土台は、あくまでパート・有期労働法

改正派遣法については、二方式の選択が注目されていますが、日本の同一労働同一賃金の仕組みは、改正前からの労働契約法、パートタイム労働法が基本であり、そこから導かれた裁判例などがリーディングケースとなるため、現実的な実務対応はこの延長線上に存在します。

すなわち、パート・有期労働法への正確な理解が大前提であり、これらを土台として、そもそもの均衡待遇の法理を派遣法へ当てはめることが肝要となります。

そして、均等待遇は、派遣労働ではよほどの例外でなければありえないことも、なぜか真正面から議論されることがあまりありませんが、重要なポイントだといえるでしょう。

したがって、ある意味では派遣労働の特性に照らした適正な実務対応を重ねることで、法律が認める待遇の格差の範囲内であることを確認できるケースも相当出てくることになると思われます。

同一労働同一賃金については、派遣法だけを勉強しても対応することはできず、いわば日本版の同一労働同一賃金の仕組みを理解した上で、派遣法独特の制度の中に落とし込んでいく必要があります。

このような特徴を十分に理解した改正実務への準備と対応を進めていくことが必要でしょう。

② 協定方式の違反への改善是正には一定のルールが置かれる予定

全体としては労使協定方式を採用する派遣元が多いといわれますが、法律上の要件がとても厳しいので、締結した労使協定の内容が違反する企業も少なくないと予測されます。

労使協定違反→無効な労使協定→派遣契約も無効→強制的に派遣先方式→すぐに待遇情報等が得られない→派遣労働者は就業できなくなる? という流れになると、日々まじめに働いている、まったく落ち度のない派遣労働者が保護されず、場合によっては職を失うという問題が生じることになります。

派遣労働者が主役の派遣法なのに、派遣労働者にしわ寄せがくる現実について、ほとんど実質的な目配せが行われてこなかったというのが、残念ながら現状だといえます。

このような問題を引き起こさないための最低限のフローを作る方向で、厚生労働省内部で詰めが行われています。

具体的には、協定方式の違反企業への改善是正に関して一定のルールが置かれ、ただちに派遣労働者に不利益が生じることのないような流れになる予定です。

いずれにしても、お盆明けから全国で来春に向けた動きが加速していきますが、いままでにない難しさをはらんでいる改正派遣法なので、ほとんどの派遣元ではそう簡単にはいかない可能性があります。

秋からが来春への対応に向けての正念場となりますので、派遣元はもちろん派遣先についても、確実な準備を進めていきたいものです。

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