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ナデック通信

2019年3月号

新刊「中小企業の働き方改革」本が発売されました!

 年次有給休暇の取得義務化、時間外労働の上限規制の強化を中心とする「働き方改革関連法」が、いよいよ4月から順次施行されます。中小企業にも厳しい罰則が適用されますが、あまりにテーマが幅広く、改正点も複雑なことから実務担当者の方の戸惑いの声も聞かれます。

 そこで、働き方改革の全体像から、労働時間のルール、同一労働同一賃金などのトピックをわかりやすく解説した本を出版することになりました。パッと見て実務対応の優先順位が分かる構成で、具体的なケーススタディや想定トラブル対策も盛り込んで解説しています。

 小岩広宣著 『中小企業の「働き方改革」 労務管理をスムーズに変える本』(秀和システム)

 私自身の単著新刊としては3年ぶり(改訂版を含めると2年ぶり)、共著や編著も含めると11冊目の本となります。思えば最初の本を書いたのは2007年でしたから、開業して5年目の頃でした。それから十数年の間に11冊ですから、本当にさまざまなご縁に感謝しかありません。

 今回の本は4月施行の直前のテーマということで、昨年寒くなる頃に正式に企画が動き出して年明け入稿だったため、実質的には1か月足らずで書いたことになります。お正月休み返上はかなりキツイ毎日でしたが、もっともよいタイミングでお届けできることになったと思います。

 アマゾンなどでは2月27日発売とありますが、地域差などを考慮しても3月始めには全国の書店に並ぶことになると思います。ぜひ、お一人でも多くの方に手に取っていただきたいものです。

 書籍の具体的な内容(目次構成)は、以下の通りです。

◆          ◆          ◆

『中小企業の「働き方改革」 労務管理をスムーズに変える本』  目次

第1章 「働き方改革」の全体像

1-1 中小企業にも罰則が適用される 「働き方改革」

 法改正の背景:なぜいま「働き方改革」なのか?
 法改正の概要:19もある「働き方改革」のメニュー 
具体的な対応:2024年まで続く法改正のスケジュール
  発生する課題:中小企業にも厳しい罰則が適用される

1-2 3分で分かる「働き方改革」の全体像

 法改正の背景:「働き過ぎ」を改善するための長時間労働の是正
 法改正の概要:「労働者の健康」を守るためのルールの強化
 具体的な対応:「同一労働同一賃金」の実現を目指す
  発生する課題:働き方改革の「基本理念」が雇用対策法にうたわれる

1-3 “働き過ぎ”を防ぐ労働時間改革

法改正の背景:労働時間の「原則」はそのまま。違反には罰則が
  法改正の概要:労働時間の「特例」のルールが明確化される
  具体的な対応:予測できない事由のときのルールを明確化
発生する課題:適用除外者について「労働時間の把握」を徹底

1-4 “多様な働き方”がビジネスを活性化させる

法改正の背景:テレワーク、副業・兼業の推進
法改正の概要:女性活躍の推進
 具体的な対応:病気の治療と仕事の両立、障害者の就労支援
 発生する課題:高齢者の就業促進

1-5 同一労働同一賃金”は新たな時代のライフスタイル

  法改正の背景:正社員とそれ以外との賃金の圧倒的格差
 法改正の概要:「手当」の支給にも歴然とした違いがある
 具体的な対応:待遇差についての「判断基準」がなかった
 発生する課題:「人生100時代」のライフスタイルと働き方

1-6 小さな会社の社長、総務課長の役割は?

 法改正の背景:社内改革には経営トップの覚悟と決断が必要
 法改正の概要:働き方改革は「実務改革」である
 具体的な対応:「総務課長」不在の会社のリスク
 発生する課題:会社が次のステージに向かうチャンス

●コラム “働き方改革”をしないと社会は不幸になる?

第2章 「有給休暇」の義務化

2-1 確実に「年5日」有給休暇を取得させる

 法改正の内容解説:有給休暇を取らせないと罰則が適用される
 具体的な対応:年間「5日」付与することが義務付けられる
 発生する課題:労働者が自主的に出社してもダメ
 ケーススタディ:有給休暇の日に自主出社しない仕組みをつくる

2-2 有給休暇を「計画的付与」で与える

 法改正の内容解説:有給休暇を計画的に割り振ることができる「計画的付与」
 具体的な対応:会社と労働者代表が労使協定を締結する
 発生する課題:有給休暇の日数が少ない労働者への対応が必要
 ケーススタディ:年末年始や夏季休暇と合わせて効果的な連休を

2-3 有給休暇を「斉一的付与」で与える

 法改正の内容解説:「基準日」がバラバラだと有給休暇の管理が煩雑
 具体的な対応:就業規則で基準日を統一するルールをうたう
 発生する課題:意外と煩雑な有給休暇「残日数」のカウント
 ケーススタディ:有給休暇の実務が会社の管理責任へと発展

2-4 「前倒し」で有給休暇を与えるときのルール

 法改正の内容解説:入社年と翌年とで「ダブルトラック」が起こるケース
 具体的な対応:比例按分した日数を付与することもできる
 発生する課題:前倒し分を取得した場合は差し引くことができる
 ケーススタディ:全社員にしっかり周知しないとのちのちトラブルも

2-5 「有給休暇管理簿」を整備しよう

 法改正の内容解説:なぜ「有給休暇管理簿」が必要なのか
 具体的な対応:「有給休暇管理簿」には何を書くのか
 発生する課題:労基署の調査などで指導されることに
 ケーススタディ:法定三帳簿と共通する点、異なる点

●コラム “休みたくない”社員が社長を苦しめる時代

第3章 「時間外労働」の上限規制

3-1 36協定のルールが変わる

 法改正の内容解説:これからは「限度基準」違反イコール違法となる
 具体的な対応:新様式の36協定の作成フロー
 発生する課題:「過半数代表者」の選出をめぐるトラブルも
 ケーススタディ:スマートフォンを使って「過半数代表者」選出を

3-2 年720時間、月100時間の上限規制の意味

 法改正の内容解説:「特別条項」を締結しても絶対に超えられない上限がある
 具体的な対応:「特別条項」の発動には健康確保措置が必要
 発生する課題:「複数月平均80時間以内」は実務的には相当困難
 ケーススタディ:原則の36協定と「特別条項」をうまく使い分ける

3-3 「年720時間以内」を守ろう

 法改正の内容解説:「年720時間以内」は絶対に守らなければならない上限  
 具体的な対応:36協定(特別条項)の締結期間で判断する
 発生する課題:「年6回」の特別条項の対象期間に注意
 ケーススタディ:年720時間には「休日労働」は含まない

3-4 「2~6か月平均80時間以内」を守ろう

 法改正の内容解説:労災認定基準が元になっている複雑なルール
 具体的な対応:「2~6か月平均80時間」はどうやってカウントするか?
 発生する課題:システム化しないと実務導入は困難
 ケーススタディ:事前に時間外・休日労働を計画して繁忙期を乗り切る

3-5 「月100時間未満」を守ろう

 法改正の内容解説:「月100時間」は労災の過労死ゾーン
 具体的な対応:「月100時間」は「年720時間」にも通ずる
 発生する課題:まずは休日労働を原則禁止にしよう
 ケーススタディ:月60時間超えの時点で面接を実施

3-6 「月45時間超は年6回まで」を守ろう

 法改正の内容解説:「年6回まで」のルールは今までと変わらない
 具体的な対応:特別条項の適用場面はかなり限定されている
 発生する課題:「年6回ルール」は協定の締結期間が大事
 ケーススタディ:「年6回まで」の誤解が休日労働をめぐるトラブルへ

3-7 月60時間超の残業は「50%」の割増賃金に

 法改正の内容解説:「働き方改革」により猶予措置が撤廃
 具体的な対応:1か月の「起算日」をしっかり意識していこう
 発生する課題:時間外労働と休日労働の割増率が逆転する矛盾
 ケーススタディ:割増賃金の増加が店舗の経営問題に発展

3-8 「振替休日」でも割増賃金が必要な場合がある

 法改正の内容解説:「振替」と「代休」と労働時間の原則
 具体的な対応:「振替」でも割増賃金が必要となるケース
 発生する課題:「振替」のルールは就業規則に明確化する
 ケーススタディ:「振替」への誤解から賃金未払いのトラブルへ

●コラム 頑張って残業すればするほどお客様が不幸に

第4章 新たな時代の「労働時間のルール」

4-1 新しい「フレックスタイム制」は働きやすさと労働時間短縮が両立

 法改正の内容解説:フレックスタイム制が使いやすい制度になった
 具体的な対応:今まで以上に柔軟な働き方が可能
 発生する課題:複数月のフレックスタイム制は労使協定の届出が必要
 ケーススタディ:労使協定はうっかり届出漏れでは済まされない

4-2 フレックスタイム制で長時間労働は許されない

 法改正の内容解説:働きやすい反面、長時間労働の原因にもなる
 具体的な対応:長時間労働を許さない新たな労働時間の清算のルール
 発生する課題:フレックスタイム制の対象は週平均50時間まで
 ケーススタディ:複雑な制度を確実に理解しないと給与計算ミスを連発

4-3 “高プロ”は高度専門職と高所得者の高いハードル

 法改正の内容解説:労働時間、休憩、休日、深夜労働の割増賃金の支払いが不要に
 具体的な対応:対象業務と対象労働者のハードルはかなり高い
 発生する課題:「健康確保措置」の実施が義務となる
 ケーススタディ:“高プロ”になった労働者からの撤回をめぐるトラブル

4-4 「勤務間インターバル制度」を有効活用しよう

 法改正の内容解説:ワークライフバランスを保ちながら働くために必要な制度
 具体的な対応:前倒しして導入すると助成金の対象にも
 発生する課題:“高プロ”や36協定の特別条項では欠かせない
 ケーススタディ:勤務間インターバルがあれば防げた労災事故

4-5 「健康確保措置」と医師による面接指導の強化

 法改正の内容解説:時間外・休日労働が月80時間超えると医師による面接指導
 具体的な対応:高プロ、研究開発業務の場合は罰則付き
 発生する課題:産業医に対する情報提供義務も強化された
 ケーススタディ:月45時間超で面接指導を実施している会社の例

4-6 タイムカードや出勤簿は万能ではない

 法改正の内容解説:労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録する
 具体的な対応:「自己申告制」の場合は要注意
 発生する課題:出勤簿やタイムカードにも保存義務がある
 ケーススタディ:タイムカードを鵜呑みにしていて招いたトラブル

●コラム “自由な働き方”がキャリアアップにつながる

第5章 パート・契約社員・派遣労働者の「同一労働同一賃金」

5-1 そもそも「同一労働同一賃金」とは?

 法改正の内容解説:「非正規雇用」の待遇改善を図るための法律
 具体的な対応:「同一労働同一賃金」の対象となる人は?
 発生する課題:そもそも「均等」と「均衡」の違いとは?
 ケーススタディ:パートや契約社員の「定義」をめぐるトラブル

5-2 「ガイドライン」が法律に格上げされる

 法改正の内容解説:パートタイム労働法と労働契約法が一つになった
 具体的な対応:「判断基準」は改正前と基本的に変わらない
 発生する課題:最終的に判断するのは裁判所?
 ケーススタディ:「責任の程度」は明確に見える化した方がいい

5-3 「裁判所」はこう判断する!

 判例1:ハマキョウレックス事件 ~運送業のドライバーにおける正社員と契約社員~
 判例2:長澤運輸事件 ~運送業のドライバーにおける正社員と定年後嘱託社員~
 判例3:日本郵便事件 ~郵便局の配達業務・窓口業務における正社員と契約社員~
 ケーススタディ:あいまいな「手当」は労働者も会社も不利益に

5-4 労働者の待遇に関する説明義務の強化

 法改正の内容解説:パートや契約社員の待遇についての説明義務が強化された
 具体的な対応:行政による助言・指導が行われる
 発生する課題:裁判以外の方法で紛争解決をはかる場も整備
 ケーススタディ:行政ADRを活用してトラブルを円満解決

5-5 「派遣先との均等・均衡方式」と「労使協定方式」

 法改正の内容解説:派遣労働者の労働条件は派遣先と比べるのが原則
 具体的な対応:「派遣先方式」と「労使協定方式」との選択制
 発生する課題:「比較対象労働者」とは?
 ケーススタディ:派遣労働者の待遇決定方式をめぐるトラブル

5-6 派遣労働者の賃金制度・評価制度の導入が急務に

 法改正の内容解説:待遇決定の「労使協定」への記載項目
 具体的な対応:派遣労働者の賃金制度・評価制度が必要に
 発生する課題:派遣元における実務の流れは?
 ケーススタディ:書かれた内容がおかしいと労使協定が無効に

コラム パート・契約社員の“反乱”が会社を潰すかも?

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 小岩 広宣 著 
 『中小企業の「働き方改革」 労務管理をスムーズに変える本』
 秀和システム / 1,500円+税 / 216ページ
 https://www.nudec.jp/kaikaku

 今回の本で一番大変だったのは、「ケーススタディ」です。法律は通ったものの具体的な内容が判明していないという状況で、しかもまだ施行されていない段階でいわば“シミュレーション”をする。この作業は私にとっては予想以上に困難なものでした。
 年の瀬の慌ただしい時期に移動の新幹線の中で、頭を抱えながら細切れに場面を想像しながら書いて、あれもこれもと悩みながら孤独なお正月を迎えた苦いひとときが昨日のようです。
 どこまでリアルで実務目線の内容になったかは分かりませんが、少しでも「働き方改革」をめぐる働く人と実務担当者や経営者との間の架け橋のヒントになればという思いで書きました。
 「このケースは同じだな」「なるほど、そうなのか」いった具合で、何かのお役に立てる場面が出てこれば私自身にとっても幸せです。

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