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ナデック通信

2018年10月号

来年4月からの「有給休暇」の対策は?

 来年4月以降に順次施行されていく「働き方改革関連法」ですが、トップバッターとして実務に大きな影響が発生するのが、何といっても「有給休暇の年5日付与の義務化」です。

 もうひとつの目玉である労働時間の上限規制については大企業は2019年4月施行ですが、中小企業については一年後の2020年4月施行となります。有給休暇については企業規模に関わらず一律2019年4月施行です。

 しかも罰則付きの法改正であることから、企業実務に与えるインパクトはとても大きく、実務対応のための準備期間もそれほど猶予がないといえるでしょう。
 
 
 
 
 具体的な改正内容は、以下の通りです。

 年次有給休暇の日数が10日以上の労働者に対し、うち5日については、1年以内の期間に時季を定めることにより与えなければならない。

 ただし、労働者の時季指定又は計画的付与制度により与えた場合は当該日数分については、使用者は時季を定めることにより与えることを要しない。

 有給休暇は原則入社6か月で10労働日発生しますが、その権利を行使するかどうかは、計画的付与などの例外を除いて、従来は労働者の判断に委ねられていました。

 そこで実際にはなかなか有給休暇を取得しにくいという現実があり、1年のうちまったく有給休暇を取得したことがない人は、全体の16%にも上るという統計もあります。

 働き方改革の流れの中で、そうした働き過ぎの現実を少しでも改善するための後押しとして新たなルールが設けられたのが、今回の法改正です。 

 従来から、労働者から有給休暇の取得の申出があった場合は、時季変更権が行使できる例外の場合を除いては、使用者はそれを拒むことはできませんが、逆にいえばそれ以上の有給休暇の取得の促進を進める法的な義務はありませんでした。

 今回の法改正は、「30万円以下の罰金」という罰則付きで使用者に実効性を促す内容ですので、従来とは比べものにならない重い義務が課されたということになります。
 
 
 
 
 具体的な有給休暇の付与方法としては、以下の3パターンが考えられます。

①労働者本人の時季指定
②計画的付与(労使協定)
③使用者による時季指定

 ①は、最も原則的な付与方法です。労働者本人から時季指定があれば、当然それを拒むことはできませんが、取得された有給休暇の日数分は「5日」の義務日数から差し引くことになります。

 この場合、半日有給を取得した分を消化分と扱うことはできますので、例えば半日有給を10回取得した場合は5日分の義務を履行したことになりますが、時間単位に有給休暇はカウントできないことになっています。

 したがって、時間単位の有給休暇を制度化している事業所では、時間単位で取得された分の有給休暇は、「5日」分から控除することはできませんので、注意する必要があります。

 ②は、労使協定を締結して計画的に有給休暇を取得することをルール化する方法です。現在でも、お盆休みやお正月休みの一部や、社内行事の前後などにみんなで一斉に有給休暇を取得するという方法で、制度運用されている事業所も少なくありません。

 販売・飲食などのサービス業や、医療・介護事業、製造業の工場などでは、個々の労働者が各自に有給休暇を取得すると事業運営への影響が大きいケースも多いことから、現実的にこの計画的付与の方法を導入するケースが多くなると予想されています。

 この場合は、労使協定の締結の実務と並行して具体的なカレンダーを作成・周知していくことになりますが、来年4月からの改正法施行を見据えるとカレンダーの内容を調整する猶予はそれほどないといえるでしょう。

 また、従来休日であった日を労働日扱いした上で計画的付与を行うことは当然に不利益変更となりますので、そのような問題やリスクが起こることのないよう細心の注意と配慮が必要でしょう。

 ③は、使用者による時季指定です。①②によっても5日分が消化されない場合は、そのまま放置していたら違法な状態が生じることになります。そこで、使用者が時季指定を行わなければなりません。

 ただし、使用者が時季指定を行うにあたっては、本人の希望を聴く必要があるとされています。本人の希望を聴かずに使用者が一方的に時季指定を行うことはできませんので、注意しなければなりません。
 
 
 
 
 上記の①②③を整理すると、以下のようになります。

 「5日」の義務日数を消化するにあたっては、①労働者が時季指定を行う、②計画的付与を行う、③使用者が時季指定を行うという流れとなります。経営者、実務担当者は、この3パターンをしっかりと頭に入れておきたいものです。

 具体的な留意点としては、半日単位は対象となるものの、時間単位の有給は対象外であるという先ほどご紹介したルールのほか、事業所が独自に有給休暇以外の特別休暇を設定している場合も対象外となります。

 また、当然のことですが、10日以上の付与対象者は全員対象となりますので、パート、アルバイト、役員もすべて例外ではありません。パート、アルバイトのうち、10日以上の付与対象となる人がだれかいうことは、タイムリーに把握しておかなければなりません。

 そして、一番難しい論点となりますが、法定の有給休暇を「前倒し」して付与した場合は、10日以上の有給休暇が発生しているとその段階から義務の対象となります。

 入社日から有給休暇の取得を認めていたり、有給休暇の基準を合わせるために「前倒し」で付与するケースもありますが、そうした場合は入社6か月を待たずに義務の対象となることがありますので、自社が現状をしっかりと確認しておきたいものです。

 1年間の付与期日が近づくと、やむなく使用者が時季指定して有給休暇を付与することになります。このようなケースでも、労働者が自主的に出社して仕事をしてしまった場合は、使用者は現実に労務を受領したことになりますので、法的な義務は履行されていないことになります。

 本来、労働提供義務のない有給休暇日に出社することは名実ともに厳格に禁止した上で、指揮命令に基づかない就労を現実的にさせないようなロックアウトの対応を取ることが求められるでしょう。

 なお、罰則は冒頭にご紹介したように30万円以下の罰金とされていますが、これは「労働者1人あたり」に適用されることになります。使用者単位、法人単位ではなく、例えば違法が問われる労働者が10人いた場合は、30万円×10人=300万円となる可能性があります。

 有給休暇についての法改正は、来年4月に向けて取り組むべき課題がたくさんあります。ぜひ早めの対応と準備に心掛けたいものです。

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