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ナデック通信

2018年
2月号

2018年、職業安定法の改正と具体的な対応は?

 2018年の通常国会が始まり、「働き方改革」に向けた議論がスタートしています。労働基準法施行以来の大改正、同一労働同一賃金の導入など、これからの時代の働き方をめぐる大改革の年となりそうですが、大きな変化はこれだけではありません。1月1日から施行されている改正職業安定法も、募集採用や労務管理をめぐる実務に大きな影響を与えています。

 職業安定法については都道府県労働局単位で昨年末から改正法の説明会が行われていますが、対象としては主に職業紹介事業者の方向けの内容であり、それ以外の一般の事業所のみなさんの関心はそれほど高くないというのが実情だと思います。

 1月1日施行の改正職安法については、職業紹介事業者に適用されるルールと、それ以外の一般の事業者全般にも適用されるルールの2種類の内容が盛り込まれています。
 
 
 
 
 職業紹介事業者向けの改正点としては、職業紹介事業者に関する情報提供義務の新設、業務運営についての指針の改正、職業紹介責任者の役割および責任者講習の内容などが挙げられます。職業紹介事業者に関する情報提供については、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」(https://www.jinzai-sougou.go.jp/)において、以下の点を公開することになっています。

① 各年度の就職者の数
② 無期雇用就職者の数
③ ②のうち、6か月以内に解雇以外の理由で離職した者の数
④ ②のうち、6か月以内に解雇以外の理由で離職したかどうか判明しなかった者の数
⑤ 手数料に関する事項
⑥ 返戻金制度の導入の有無、その内容
⑦ その他、職業紹介事業者の選択に資すると考えられる情報(任意)

 公開する項目としては、就職者の数や6か月以内の離職者の数が中心的な内容となりますが、⑤⑥⑦の内容も見落とすことができません。⑤手数料に関する事項は届出制手数料の場合は必須ですが、⑥返戻金制度についても指針で設けることが望ましいとされており、実務的には重要な要素となりつつあります。

 また、⑦その他、職業紹介事業者の選択に資すると考えられる情報については、あくまで任意の項目でありますが、職業紹介事業者としての強みや特徴について自由に記載することが許されるため、事業内容のPRとしての側面を持っています。具体的には、自社のホームページへのリンクを貼ることが想定されますので、ぜひ有効に活用したいものです。
 
 
 
 
 一般の事業者全般に適用される改正点としては、募集・求人時の労働条件の明示について新たなルールが新設されています。労働者の募集・求人にあたっての労働条件等の明示について、明示義務とされる事項が以下のように追加されています。

【これまでと同様の項目】
業務内容、契約期間、就業場所、労働時間・休日、賃金、社会保険・労働保険の加入状況

【追加された項目】
試用期間の有無および内容
募集主・求人者の氏名または名称
派遣労働者として雇用しようとする場合はその旨

【明確化された内容】
労働時間について裁量労働制を採用している場合はその旨
賃金について固定残業代を採用する場合はその旨

 この改正点についてのポイントは、明示義務とされた事項の内容もさることながら、書面で明示する必要があるタイミングです。「原則として初回の面接等、求人者と求職者が最初に接触する時点までに」とされていますので、実務的には面接等を行う際に書面等を交付する必要があります。

 募集・求人時に明示された労働条件の一部が、求人者と求職者との交渉や環境変化等によって変更された場合には、「労働契約が締結される前に」新たな明示を行う必要がありますので、具体的には実務フローがないとなかなか対応することができないルールとなります。円滑な対応がとれるよう、留意していきたいものです。
 
 
 
 
 
 
 職安法をめぐるテーマには奥深いものがありますが、ご縁があって先日大阪で開催された、公益社団法人全国民営職業紹介事業協会の新春講演会・賀詞交歓会で弊社小岩が講師を務めました。演題は「改正職安法の施行と職業紹介事業者への期待」でしたが、大阪労働局の需給調整部長さんに続いて登壇し、懇親会でも多くの業界の皆様と交流させていただきました。

 
 
 
 
 また、今月から全国主要都市で開催されている、厚生労働省委託事業の「職業紹介事業従事者講習」でも講師を務め、一部の会場で労働法Ⅰ、実務解説・演習 「人材確保対策」を担当しています。先日の福岡会場ではあいにくの寒波という悪天の中、九州各地さらにはその他の地域からも、たくさんの方が参加されました。2月は大阪、名古屋で登壇する予定です。