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ナデック通信

2017年
8月号

“2018年問題”への対応は大丈夫ですか?

最近になって、「2018年問題」という言葉を耳にすることが増えてきたと思いませんか?

今までにも、いくつか「○○年問題」がありました。労働法関係で有名なのは「2009年問題」でした。

これは、派遣法改正によって派遣期間が最長3年となって最初の抵触日が到来することにより、製造派遣の現場が大混乱すると予想された問題です。

結果的にはリーマンショックの発生によって大量の「派遣切り」が行われたことにより、そもそもクーリングの問題にならないケースが多発したのは、記憶に新しいところです。
 
 
 
 
今回の「2018年問題」は、2015年の派遣法改正で設けられた同一組織単位の期間制限のルールにおいて初めて3年の抵触日を迎える問題です。

この抵触日を迎えると、無期雇用や60歳以上などの例外に該当する人以外は、派遣を継続することができなくなります。

改正派遣法には、もう1つ派遣先事業所単位の期間制限がありますが、こちらは派遣先の過半数労組か過半数代表者の意見聴取を行うことで、延長することができます。

同一組織単位の期間制限にはこのような延長の手続きはいっさい認められていないため、とりわけ大きな問題だとされているのです。

改正前の派遣法では、期間制限の単位が同一業務という「係」単位でしたので、同じ派遣先でも「係」が変われば、派遣就業を行うことができました。

改正後は同一組織単位という「課」単位となっていますので、このハードルはかなり引き上がっています。

たとえ名称が別の「課」であったとしても実質的に同一組織単位と判断される場合は認められませんので、派遣先での実態をもう一度しっかり確認したいものです。
 
 
 
 
さらに、もう1つの「2018年問題」があります。

これは来年4月から実質的に該当者が多発することが予想されている、労働契約法の「5年ルール」です。こちらのルールには例外がありませんので、派遣社員に限らず、すべての労働者が該当します。

契約社員であろうが、パートタイマーであろうが、アルバイトであろうが、基本的に5年続けて勤務した人は、「私を定年まで雇ってください!」といえるルールであり、そのようにいった瞬間、会社の意思にかかわらず、彼ら(彼女たち)は、無期雇用に転換するのです。

無期転換ルールの要件は、以下のとおりです。

①有期労働契約の通算期間が5年を超えている
②契約の更新回数が1回以上
③現時点で同一の使用者との間で契約している

派遣社員についていえば、3年の抵触日を超えて(課を変えるなどして)派遣契約を更新して働いている人は、契約期間が5年を超えた段階でほぼ確実に該当することになります。

いろいろな派遣会社の現状からすると、こちらの「2018年問題」の方が実質的にハードルが高いという声も多いようです。

いずれも、派遣業界にとっては生き残りがかかった大きなテーマです。
 
 
 
 
それでは、これらの2つの「2018年問題」には、具体的にどのように対応すべきなのでしょうか?

抵触日の問題については、基本的には「雇用安定措置」にいかに対応するかというテーマです。雇用安定措置の具体的内容は、以下の4点です。

①派遣先への直接雇用の依頼
②新たな就業先(派遣先)の提供
③派遣元での無期雇用
④その他安定した雇用が確実に図られると認められる措置

これらの①~④はいずれも現実的には相当に難易度が高いです。①はそもそも派遣先が直接雇用したいのであれば雇用安定措置の問題以前に実現しているはず、③は派遣元での無期雇用=「正社員」はそう何人も雇えるものではない、④は教育訓練を実施しながら休業手当を支払う期間はそう長期間続けるわけにはいかない、というのが現実です。

結果的に④の選択肢となるケースが多いと予想されますが、こちらは「派遣労働者としての新たな就業の機会の提供に関して、派遣労働者の能力、経験などに照らして合理的なものでなくてはならない」とされています。

そこで、トラブルを避けるためにはあらかじめ希望を聴いておき、本人との面談による派遣先の調整を行っていくという観点がとても重要になります。

この視点をブラッシュアップして、いかに具体的に仕組み化していくかという点に、これからの派遣会社の発展と生き残りがかかっていると言っても、言い過ぎではないでしょう。
 
 
 
 
無期転換ルールに関しては、抵触日の問題以上に深刻だと思います。こちらは組織単位が変わればよいといったルールではありませんので、5年ルールの要件を満たした労働者から申出があれば無期化を避ける方法はありません。

派遣会社の経営者や労務管理の担当者の中にも無期転換ルールに頭を抱える人が多く、ここ最近各地で開催されている「2018年問題」の対策セミナーや相談会などでも、無期転換についての質問や相談が圧倒的に多いようです。

無期転換ルールへの根本的な対応策を考えることは難しいですが、まず前提として大切なのは、派遣社員について「有期雇用」と「無期雇用」のキャリア・コースを明確にすることです。

何となく今までのように「有期雇用」をしてきた派遣社員が、(抵触日も乗り越えて)5年経過したら無期転換の申込みをされて「無期雇用」になったとか、逆に言葉は悪いですが行き当たりばったりで「無期雇用」にしたものの、それに見合った派遣社員のキャリアアップをはかることができないといったことは、避けなければなりません。

その上で、無期転換ルールを困ったルールだと受け止めるのではなく、むしろ「無期雇用」の派遣社員を育てていくことが、派遣会社の新たな可能性を持った成長モデルでもあり、派遣社員自身にとっての新たなキャリアを切り拓く道でもあると受け止めるべきでしょう。

同時に、「無期化」にあたってのリスクを正確に理解し、会社を守るために重要となる労働条件、就業規則などのさまざまな具体的な企業防衛策についても、目に見えるロードマップをつくって確実に実施していく必要があるでしょう。
 
 
 
 
これらの点を踏まえて、「許可制への移行と2018年問題への具体策」無料セミナーを開催しています。

来年に向けた実務についてお話しをしますので、興味のある方はぜひご参加ください。
 
 
◆岐阜会場/7月15日(土)/OKBふれあい会館/定員30名【終了】

◆名古屋会場/8月25日(金)/ウインクあいち/定員80名

◆四日市会場/9月23日(土)/じばさん三重/定員30名
 
 
講師/特定社会保険労務士・国家資格キャリアコンサルタント 小岩 広宣
 
 
 
 
(1)特定派遣事業者が今やらなければならないことは? 
 許可制の具体的な移行スケジュール/「無許可」事業への厳しい行政指導/請負制が可能な場合は?

(2)「キャリアアップ」「許可更新」に現実的に対応する方法
 「キャリアアップ」に最短・確実に対応する方法は?/年々ハードルが上がる許可更新実務への対応

(3)今だからできる2つの「2018年問題」への具体的な対策は?
 来年4月以降の「無期転換ルール」への対応は?/来年9月以降の「雇用安定措置」への対応は?

(4)派遣事業の新たなモデルをつくり、「働き方改革」の波に乗ろう!
 これからの派遣事業の2つの方向性とは?/「働き方改革」の最新情報と時代の波に乗るための戦略

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