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ナデック通信

2016年
2月号

「特定労働者派遣事業のこれからは?」

昨年は労働者派遣法の大改正の年でした。
いわゆる安保法案のドタバタと傍らで、「派遣法はどうなるのか?」とやきもきしていた秋を過ごした人も多いと思います。
結果的にはギリギリのタイミングで改正案が成立し、わずかな周知期間しかとれない中で、9月30日から施行されました。

この間、行政でも民間でも、改正法について実にさまざまなセミナーや勉強会が開催されました。
私どもでも複数回に渡ってセミナーを開催しましたが、熱心な業界の方々と接する機会になりました。
改正法対応について多くの方からご要望をいただき、できるかぎりのご支援をしています。
 
 
 
平成27年改正でもっともインパクトが大きく実務への影響が大きいのは、特定労働者派遣事業の廃止です。
期間制限についても新たな制度へと移行していますが、こちらは経過措置が置かれたことで、実務の現場に大きな影響が起こるのは少し先になります。

特定労働者派遣事業の廃止にも3年間の経過措置が置かれましたが、この間に許可制に移行するのか、その他の対応をとるのかの結論を出した上で、具体的に実施に移す必要があるため、「まだ先のこと」というわけにはいきません。

全国には(一般)労働者派遣事業許可事業所の数を大きく上回る5万事業所以上の特定労働者派遣事業所があるため、これらの事業の今後が与える社会への影響も大きいといわなければなりません。
 
 
 
そこで厚生労働省でも「特定労働者派遣事業の廃止に伴う中小規模の派遣元事業主への支援事業」を実施しており、委託実施機関を通じて全国での支援セミナーや相談会などを開催しています。

2月以降も、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡などの主要都市を中心に、「特定労働者派遣元事業主の許可制移行を円滑に進めるための支援セミナー」が実施されます。
 

https://www.langate.co.jp/haken/
 
 
 
セミナーの内容は、以下の通りです。
 
 
◎2015年改正派遣法の改正ポイントと対策
◎労働契約申込みみなし制度について
◎派遣事業の許可基準と経過措置
◎許可申請の要領
◎支援策の紹介
◎小規模派遣元事業主への暫定的な配慮処置について
◎再就職援助計画の作成方法について
◎各種雇用関係助成金の紹介
◎アウトプレースメント企業の紹介
◎個別相談会の活用

 
 
 
厚生労働省委託事業のセミナーに私も出席してきましたが、平成27年改正の具体的な内容に加えて、助成金や融資の諸制度やアウトプレースメントについての解説もあり、法改正対応の枠を超えた実践的な内容だと感じました。

行政の意図としては、特定労働者派遣事業の今後の方向性について選択肢を示すとともに、事業廃止や事業再編にあたって派遣労働者の大量失業が起こることを抑制したいというのが本音のところだと思います。

その意味では、事業の転換や再編の方向性も見据えつつ、行政等が運営する諸制度の活用も前向きに検討する中で、自社の今後の発展のために積極的に役立てていきたいものです。
 
 
 
特定労働者派遣事業の経過措置期間は平成30年9月29日までとなっているため、それ以降は許可制に移行しないかぎりは派遣事業を継続することはできません。

労働者派遣事業許可を取得するためには数々の許可基準を満たす必要がありますが、中でも資産要件(基準資産額2,000万円以上、現金預金1,500万円以上など)がハードルとなるケースが多いです。

暫定的な配慮措置が置かれたことで、常時雇用している派遣労働者が10人以下の場合は基準資産1,000円以下、5人以下の場合は500万円以下等とされますが、これらの措置はきわめて小規模な事業が対象である上に、あくまで暫定的なものです。

また、平成30年9月29日までは事業継続が可能とはいうものの、許可制に移行するための資産要件を判断する決算の機会は基本的には2回ほどしかないことになり、その他の準備に要する期間も考慮するならば、それほど先の課題ではないといえます。
  
 
 
私たちも毎日のように行政の方と接点を持っていますが、「特定労働者派遣事業の方には、早めに今後の方向性を決めていただきたい」といった趣旨のお話しを聞くことがあります。

これがある意味では行政の本音でもあり、事業の健全化や労働者の保護、手続きの円滑化の観点からも、これからの事業展開について早期に対応をとる必要があることを、社労士の立場からもアナウンスしてほしいということです。

派遣事業許可はかなり特殊な専門性が必要されますが、さまざまな角度から実務に関わることにより、私たちにも改正法の許可申請のノウハウが蓄積されつつあります。

地元を中心に隣接県や東京、大阪などの都市部の案件は数多く経験しておりますので、お悩みのことがありましたらお気軽にご相談いただけたらと思います。