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ナデック通信

2015年
2月号

労使関係を安定させて老舗企業を目指す秘訣とは?

先日、ある講演会に参加してきました。最近はセミナー等に登壇させていただく機会も多いのですが、もちろん受講者としても勉強させていただいています。

仕事がら、普段は労働法や社会保険といった演題のものが多いのですが、やはり広く経営と生き方とか歴史といったテーマも奥深く引き込まれますね。

そもそも企業の寿命とはどの程度のものであり、数百年に渡って受け継がれている企業にはどんな特徴があり、老舗企業を目指すにはどんなポイントがあるのか?

そこには当然のことながら企業の理念やマネジメントはさることながら、人材や採用や教育、労務管理についての秘訣があるとなれば、社労士としても興味を持たずにはおられません。
 
 
 
 
そもそも企業の生存率とは、どのようなものなのか? ある統計では「今年10万社創業したとして、30年後に残っている企業」について、調査したそうです。

答えは? 1万社でも、1,000社でも、100社でも、ありません。
正解は、なんと「25社」。

私たちの普段の感覚からしたら、驚かずにはおられませんね。

確率にしたら、本当に天文学的な数字なのだといえます。

あくまで「今年」創業したとしてというシミュレーションだと思いますが、企業経営の厳しいサバイバルを痛感させられます。
 
 
 
 
逆に、100年、200年に渡って継承され繁栄している会社が、いわゆる「老舗」企業です。

ある統計によると創業200年以上の企業を「老舗」企業というそうですが、国別ランキングでは日本はダントツの第1位です。

第1位・・・日本(3,113社)
第2位・・・ドイツ(1,563社)

第3位・・・フランス(331社)

日本の企業に歴史がある老舗が多いことはイメージできますが、ここまで突出しているということは意外かもしれません。

ちなみに、現在も活動している日本最古の企業は、大阪の金剛組(578年創立)です。

もちろん世界最古の企業とされていますが、日本では敏達天皇、中国では唐より前の陳、ヨーロッパではビザンツ帝国の時代ですから、気が遠くなりますね。
 
 
 
 
日本には歴史に名を残す老舗企業が多いわけですが、やはりそれには理由があります。

古来からの文化や気質もありますが、なかでも江戸時代の260年間の影響が大きいといわれています。

まずは、当主から当主へと脈々と受け継がれるイエ制度によって、文化や伝統も含めた技能や商習慣が確実に継承される素地があったこと。

そして、世界が混乱の渦に巻き込まれる中にあって、平和な時代が数百年に渡って続き、どの国よりもいわゆる庶民文化が発展したこと。

また、いわゆる「奉公人制度」によって商業活動に関するリクルーティングが行われ、安定した人材育成や雇用管理の機能が担われたこと。

さらに、武士道とも並ぶいわゆる「商人道」が商人の間に広まり、商業をめぐる倫理観や企業文化がどの国よりも確立していたこと。
 
 
 
 
これらの中には、現在の発展を目指す企業の労使関係のヒントもたくさん垣間見ることができます。

経営者や部門長のバトンタッチのルールを確立させ、企業文化や有形無形の息遣いも継承していくこと。

内にも外にも決して争いごとを起こさず、長期的な視点に立って現場主義の人材育成に励むこと。

みんなが同じベクトルを目指す経営を第一に志し、発展的な意味での家族経営の流れで発展していくこと。

営利の追求を超えた価値観を根底に置きながら、商人としてのプロフェッショナルを目指していくこと。
 
 
 
 
「老舗」を目指し、実際にその域に近づく企業には、やはり共通項があります。

それは、「我意や邪心を捨てて、地味にコツコツ本業をきわめること」。

一見すると商売とは無縁だったり、真逆だったりと感じるかもしれませんが、こういう精神や行動をとる企業が、結果的には「老舗」企業になるのです。

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶといいますが、あらためてその意味を痛感します。

これからの企業の発展そして発展的な労務管理のためにも、ぜひ参考にしていきたいもので