2014年11月号
秋の臨時国会、派遣法改正のゆくえは?
(ナデック通信11月号)
秋の臨時国会、派遣法改正のゆくえは?
最近、臨時国会で審議されている労働者派遣法改正案のことが、話題にならない日はありません。
これだけ新聞やテレビで取り上げられたら無理のないことですが、やはりみなさんの関心が高いテーマだと思います。
「この国会で、派遣法は改正されるの? されないの?」
毎日のように、こんな質問を受けています。
ジャーナリストでも政治評論家でもない一介の実務家である私は、「こうだ」といえる立場にありません。
ただ、今の段階で予想できることもありますので、今月は少しそのあたりについて、整理してみたいと思います。
今回再提出された改正案には、いくつかのポイントがあります。
特定労働者派遣事業の廃止に関しては、公労使それぞれの立場で反対意見は基本的にありません。
許可制に一本化するなら、やはり何らかの期間制限のルール変更は必須のテーマということになります。
問題となるのは、施行期日。「平成27年4月1日」というのは、単なる改正法の施行時期ではありません。
この日までに制度を変えておかないと、実務の現場に大きな支障が出るタイミングでもあり、普通に考えれば来年の秋以降では遅いのです。
膨大な改正法案の全文、そして関連資料を精読すると、間違いなく見えてくるものがあります。
誇張を恐れずにいえば、改正案の方向性じたいはすでに既定路線となっているといっても過言ではありません。
そんな中、2人の大臣の辞任といういわば政局にもつながりかねない状況が発生しました。
私は2閣僚が辞任した直後のブログでもお伝えしましたが、以下のような理由で臨時国会での可決成立はかなり厳しくなったとみています。
(1)国会審議が「政局」になりつつある
(2) 「重要広範議案」のハードルは高い
(3)与党を取り巻く環境変化
(4)メディアのスタンス
(5)厚労省、業界団体の影響
詳しくは、小岩ブログを。
https://ameblo.jp/koiwahironori/entry-11942519866.html
臨時国会の会期は11月30日までですが、今国会での可決成立の可否は、11月のどのタイミングで衆院を通過するにかかっていると思われます。
各種メディアによれば、与党内には臨時国会で必ず改正案を可決させたいという強硬論も根強い一方、対立法案の採決には慎重に対応したいという方針も出されているようです。
これらの状況を総合すると、衆院で可決した段階で継続審議となり通常国会で成立する可能性も十分に考えられるでしょう。
いずれにしても、政局を含めたタイミングにかかっている部分が大きく、来年に向けた改正の内容や制度修正の方向は変わらないと思います。
すでに改正案の方向をにらんだ労働局による行政指導が、全国的に行われています。
仮に改正案の成立が来年の通常国会にずれ込んだにせよ、特定労働者派遣事業が廃止されることは事実上の既定路線となっているため、行政や取引先からのコンプライアンス違反への目線はいっそう厳しくなってきています。
新たに特定労働者派遣事業の届出を行った事業所に対する訪問指導や是正指導等も活発になってきていますので、十分に遵法体制を維持した事業運営を心がけていただきたいものです。
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