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ナデック通信

2014年9月号

いわゆる「定額残業代」について経営者が考えるべきことは?

「定額残業代」とは、あらかじめ会社が一定額の手当を支払うことによって、固定的に残業代を支払う方法です。

「○○手当は、××時間分の残業代に相当する」というのが、定額残業代の考え方です。

会社としては毎月従業員に支払う賃金額が固定され、従業員としては支給される賃金が安定するメリットがあります。

特に、毎日遅くまで残業している外回りの営業マンや、実質的に労働時間による賃金評価が難しい運送業のドライバーなどには、特に広く取り入れられています。
 
 
 
従来この考え方は、裁判例によっても認められてきました。

「時間外労働手当を固定額で支払うことは、実際の時間外労働等によって支払われる限り、必ずしも違法ではない」(関西ソニー販売事件 大阪地裁昭63.10.26)

ただし、以下の要件を満たすことが必要とされています。

①定額残業代に含まれる残業代が何時間分の割増賃金にあたるのかを明確にすること
②実際の残業時間が定額残業代に含まれる時間を超えた場合は、その差額を支払うこと

「基本給に割増賃金が含まれているというためには、1.割増賃金にあたる部分が明確に区分されていること、2.法所定の割増賃金との差額を支払う旨が合意されていること、が必要である」(国際情報産業事件 東京地裁平3.8.27)
 
 
 
ところが、最近の裁判や紛争の事例では、これらの要件を満たすだけでは必ずしも定額残業代が認められないという判断が相次いでいます。

関東や関西の裁判ではかなり周到に準備された定額残業代も否定される傾向が強く、一部の地裁などでは会社側に有利な判断もあるものの、全国的に逆風が吹いています。

最近では、裁判で争っても勝てる見込みがないことから、会社側は最初からあきらめて和解に持ち込んでいるケースも増えています。

具体的には、以下のような裁判例があります。
 
 
 

「営業手当は、営業活動に伴う経費の補充または売買事業部の従業員に対する一種のインセンティブとして支給されていたものとみるのが相当であり,実質的な時間外労働の対価としての性格を有していると認めることはできない」(アクティリンク事件 東京地裁平24.8.28)

「被告の賃金体系は不合理なものであり、成果給(時間外手当)の中に基本給の部分の含まれていると解するのが相当である。そうすると、成果給がすべて時間外手当であるということはできず、成果給の中に基本給と時間外手当が混在しているということができるのであって、成果給は割増賃金計算の基礎賃金に含まれるとともに、時間外手当を支払った旨の被告の主張は失当である」(トレーダー愛事件 京都地裁平24.10.16)

「本件職務手当は、45時間分の通常残業の対価として合意され、そのようなものとして支払われたものと認めるのが相当であり、月45時間を超えてされた通常残業及び深夜残業に対しては、別途、就業規則や法令の定めに従って計算した時間外賃金が支払われなければならない」(ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル事件 札幌高裁平24.10.19)

「eの給与の40%が85時間相当のみなし残業代であったと主張するが、計算式には,休日,深夜,月60時間超の割増が考慮されていない。給与の40%に相当する時間外労働時間は,休日,深夜,月60時間超,の時間がそれぞれ何時間あったかで変動するものであって,規定だけからは,給与の40%に相当する時間外労働時間を確定することができない。したがって,割増賃金に当たる部分がそれ以外の賃金部分と明確に区別されているとはいえない。また、仮にeが給与の40%がみなし残業代であることに納得していたとしても,無効な給与規則に基づくものである以上,その合意も無効である」(木下工務店事件 東京地裁平25.6.26)

「被告は、平成24年1月支給分までは給与明細書における「基本給補助」欄の額(9万5000円)として固定残業代を反映させていた旨主張するが、同欄の支給額が固定残業代相当分を含むと認めるに足りる証拠はなく、仮に含むとしてもその額は明らかでない。また、同年2月支給分以降は給与明細書に「時間外手当」欄が設けられているものの、同欄の金額(4万円)が休日4日分及び深夜5時間の22日分の合計金額がどのように反映されているものかも明らかでない。このように、本件固定残業代制度は、割増賃金の額が法定額を下回っているかどうかが具体的に後から計算によって確認できないようなものであるから、有効性を認めることはできない」(ループコーポレーション事件 東京地裁平25.11.26)

 
 
 
最近の裁判例をみるかぎりでは、以下のような要素があると定額残業代が否定される傾向が強いといえます。

ぜひ、一度チェックを入れてみてください。
 
 
 
□定額残業代に含まれる時間外労働時間が明らかでなかったり、無制限だったりする(36協定の限度時間の45時間のみと認められる場合も)

□定額残業代の内訳が不明確であったり、割増賃金に当たる部分とそれ以外の賃金部分とが明確に区別されていない

□営業手当や歩合給的な制度によって定額残業代を支給している

□給与明細に定額残業代の金額とそれに含まれる時間数が明示されていない

□就業規則に規定があっても適法に周知されていなかったり、給与規程との間で内容に矛盾があったりする

□不利益変更になるにも関わらず、書面による個別の合意をとっていない

□労働条件通知書に定額残業代の明示がなかったり、そもそも労働条件通知書がない

□定額残業代を導入していても、毎月の労働時間を会社が把握していない

□定額残業代が実質的に実費弁償的な経費をまかなう趣旨を含んでいる

□実際に時間外労働に従事しているにも関わらず、定額残業代が支給されている職種と支給されていない職種がある
 
 
 
ここまでチェックを入れると、今のままで大丈夫なのか不安になったり、これからに向けて残業代のあり方を見直したい人もいらっしゃると思います。

おそらく中小企業で現状のままの定額残業代で通用するという会社は、10社のうち1社か2社です。

従業員にも会社にも良かれと思って考えて導入している制度が、じつはコンプライアンスに反するものだとしたら、これほど不幸なことはないですね。
 
 
 
そこで定額残業代の現状とこれからの会社の対策について分かりやすく解説するセミナーを開催することになりました。

テーマは「定額残業制&残業問題対策セミナー」で、社会保険労務士法人ナデック代表社員の小岩広宣が講師を務めます。

・日時/9月20日(土)  13:30~16:00

•場所/鈴鹿市文化会館
•主催/みえ企業成長塾(社会保険労務士法人ナデック)

初回は参加無料となりますので、興味のある方は早めにお申し込みください。

https://www.kigyou-seityou.com/article/15109287.html

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