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ナデック通信

2013年
11月号

不採算社員に対応する現実的な方法は?

言葉はあまり良くないのですが、世の中には不採算社員がいます。
ひとたび従業員として雇入れた以上は、その人が成長開花して持ち味を発揮していけるまで、あくまで教育指導を尽くしていくというのが、会社のあるべき姿です。
そんな正しい精神を持たれた経営者や幹部の方々が、世の中にはたくさんいます。
むしろ、最初から「この人なんて役に立たない」とレッテルを貼って、人を採用する経営者の方が、圧倒的に少数派でしょう。

にも関わらず、それでも会社の期待に応えてもらえず、結果として不採算社員の状態に陥ってしまう人もいます。
新人さんが最初はなかなか仕事を覚えられなかったり、ついつい小さなミスをしてしまうというのは、よくあることです。
そもそも人を採用し、人材に育てていくこと自体、子育てにも似た寛容と忍耐、そして熱意と愛情が求められることではあるのでしょう。
 
 
 
問題なのは、昨日今日入社したような新人ではなく、5年も10年も、場合によってはそれ以上の中堅、ベテラン社員の中にも、不採算社員がいることです。
新人ではないわけですから、仕事に関する基本的な知識やスキルは持っていますし、それ相応の経験も積んでいるのです。
それなのに、なぜか顧客からクレームが相次いだり、いつ接しても無気力にしか見えなかったりする。
会社にとっては、もっとも頭を抱える問題のひとつですね。

知識もスキルも経験も十分な従業員ですから、その仕事をこなしていく能力はきちんと備わっています。
だから、明らかに重大なミスを連発したり、職場で求められる最低限の仕事ができないというわけではないのです。
そうすると、客観的に能力不足という状態にあるわけではないですから、能力不足を理由に解雇をするわけにはいかない。
ここに、こうした問題の深刻さがあるのです。
 
 
 
ひと通りの仕事はちゃんとこなしているのに、なぜかお客様からのウケがものすごく悪い。
もう○年もいるベテランなのに、職場の核になってくれないどころか、いつも同僚や後輩とトラブルを起こす。
簡単な仕事を任せたらそれなりに真面目に取り組むけれども、いつも無気力なのでそれ以上の仕事に挑戦する意欲がない。
あなたの職場にも、こんな従業員がいるのではないでしょうか?
じつは、これからの人たちへの対応に苦慮する会社が、あとを絶たないのです。
その深刻さにおいては、新人さんの教育の比ではないですね。

いま世の中は、ブラック企業の話題で埋め尽くされています。
新聞やテレビでも、そうしたテーマの話しが本当に多いですね。
たしかに、世間にはとんでもない会社もあるし、経営者もいる。
でも、それらは全体の中のほんの一部に過ぎないことは、経営の立場で仕事をしている人であれば、容易に認識できることです。
悪意をもってブラックな経営をしたいと思う経営者はごくごく少数派だし、長い目で見ればいずれ世の中から淘汰されていく。
時代が変わり、業界が変化しようとも、経営にかけがえのない一番の存在が、人であることに異論はないでしょう。
 
 
 
ブラック企業の問題がクローズアップされるには、それなりの理由や背景があります。
ほとんどの会社は健全な経営を目指し、コンプライアンスにかなった人材育成をしたいと考えているのに、なぜブラックばかりが強調されるのか?
それは、メディアや一般国民の関心という要素もありますが、それ以上にブラックの要素を持った従業員もまた、世の中に増えて蔓延しつつあることの投影でもあります。
本来労働契約とは会社と従業員との権利義務がお互いに相互依存の関係のバランスにおいて成立する性格のものなはずなのに、自分が得られる権利ばかりを声高に主張して、果たすべき義務についてはまったく触れようともしない。
労働の意欲とか質、将来に向かってのプランはまったく向上していかないのに、権利主張ばかりが表に出る残念な人が多いのは、まったくもってその表われだと思います。

会社もひとつのコミュニティーであり、そこに所属する人たちの相互利益の拡大を目指しつつ、究極的に広く社会に貢献していくことを目的としている以上、不採算社員の存在を長くそのままの状態にしておくことは許されるものではありません。
ひとりの怠慢、ひとりの我儘が、職場の士気の下落を招き、顧客満足の低下につながり、ひいては会社全体の利益の喪失にも及んでしまいます。
かといって、日本の労働法にはまだまだ解雇規制が健在ですから、不採算社員であることを理由とする解雇が認められることはまずありません。

 
 
 
こうした課題を解決するためには、どのような努力をしていくべきでしょうか?
まずは会社全体が顧客中心に動くような仕組みを作り、それに基づいて教育と訓練ができるようにしていくことが先決です。
就業規則などのルール作りだけでも、年に数回行う教育研修だけでも、根本的に顧客流出を防ぐ仕組みを作ることはできません。
コンプライアンスに則ったルール構築と、現場と向き合うコミュニケーションの場の構築をしっかりと融合することが大切です。
しかし、教育研修やローププレイングを充実させていっても、モチベーションが上がるのはその直後だけで、なかなか継続的な効果は得られないという声もたくさん聞きます。

これからの会社に求められるものは、具体的な明確な「業務規則」の存在と、それを確実に「就業規則」の中に位置づけていくことだと思います。
「業務規則」は現場の業務を処理していくための具体的なマニュアルであり、「就業規則」は職場で働くルールを取り決めた取り決めです。
このふたつはいずれも会社に欠かせないものですが、両者が確実に作成されて現場に浸透しており、しかもそれぞれの内容が相互に関連づけられているという例は、まだまだ少数派です。
「業務規則」はあっても「就業規則」はないか、「就業規則」はあっても「業務規則」はないか、両方存在するけれども内容はまったく関連づけられていないか、あるいはそもそも何も存在しないか、たいていはこのいずれかです。

通常、「業務規則」は、現場の管理者やベテラン社員が作りますが、仕事のプロではあっても、ルール作りのプロではないので、なかなか再現性の高いものができないのも事実です。
逆に、「就業規則」は社労士や人事総務の責任者が作りますが、おおよそ労働法に求められた事項を具備したルールにとどまるケースが多く、現場で機能するルールに仕上がっていないのも事実です。
ここに、それぞれの規則の難しさがあります。

理想は、「業務規則」×「就業規則」のふたつがしっかりと関連しあい、一体として会社の現場に根差したルールとして定着していくことです。
このことなしには、真の職場の活性化や人材育成、そして顧客維持戦略は困難だと思います。
いま必要なのは両者を効果的にドッキングさせて現場に落とし込むための実践的なノウハウ。
世の中に社労士やコンサルタントの仕事をしている人は数多いですが、これらについて明確な答えを出しておられる方は今のところ聞いたことがありません。
それぞれの専門家がその経験と知識に基づいて、手探り状態で顧客や事例ごとに対応しているというのが、偽らざる真実だと思います。
 
 
 

不採算社員の問題に対処するには「業務規則」や「就業規則」のテーマと向き合うことが不可欠ですが、具体的には専門家の力を借りたいというケースも多いと思います。
その際には、ぜひ「業務規則」×「就業規則」といった観点で、自社の仕組み作りを支援してくれるのかどうか、そのための手法や方針とはいかなるものなのか、尋ねてみてみるべきだと思います。
私たちまだまだ道半ばではありますが、これらのテーマに積極的に取り組みつつあります。
具体的な事例やノウハウについては、このコラムでも適宜ご紹介していけたらと思っています。
来たる11月23日にはセミナー形式でそうしたノウハウをお伝えしますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。
https://www.kigyou-seityou.com/article/14951962.html