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ナデック通信

2023年
6月号

人材ビジネスの今後とジェンダーの未来

コロナも落ち着いてリアル登壇の機会が増えてきましたが、先日は大阪で人材ビジネス経営研究所主催の研究会でゲスト講師を務めました。テーマは「ここでしか言えない業界支援20年社労士の本音Q&A」、補論として「社労士からみたジェンダー分野とマジョリティの中のマイノリティ」についてお話ししました。

人材ビジネス経営研究所(大阪)でリアル登壇しました。
https://www.nudec.jp/news/18491.html

主催者の基調講演を受けて、ゲスト講座として、派遣業界に特化した社労士を20年やってきた背景や派遣専門社労士の本音Q&Aあれこれ、これからの人材ビジネスの展望など盛りだくさんの話題について約90分お話ししましたが、補論として盛り込んだ「社労士からみたジェンダー分野とマジョリティの中のマイノリティ」も好評でした。内容は以下のとおりです。

「ここでしか言えない業界支援20年社労士の本音Q&A
~社労士からみたジェンダー分野とマジョリティの中のマイノリティ~」

第1部 ないないづくしから派遣業界に特化した20年を振り返って・・・
~20万都市から派遣業界に向けて支援してきた社労士の20年実録~

第2部 ここでしか言えない派遣専門社労士の本音Q&A
~いまさら聞けない業界いろはからオフレコしか言えないリアル話まで~

第3部 派遣法最新トピック&これからの人材ビジネスの展望
~人材ビジネスがチャンスだった時代から唯一無二の自分色に展開する時代へ~

第4部 社労士からみたジェンダー分野とマジョリティの中のマイノリティ
~働き方や雇用形態のマイノリティとジェンダーフリーのマイノリティの共通項~

働き方や雇用形態としてのマイノリティとジェンダーフリーの意味でのマイノリティの共通項を前提として、「ジェンダー」のテーマがなぜいま問われているのかについて解説し、マイノリティゆえの多様性が武器となることで、人材ビジネスの担い手は本源的にマイノリティ性と向き合う姿勢があるという見取り図を示しました。派遣とジェンダーにはそもそもマイノリティとしての共通軸があるので、新たなビジネスモデルになり得るという視点には、多くの人に関心を持っていただきました。

20年派遣業界を支援してきて、派遣事業はそのマイノリティゆえの特性をいかして、マイノリティの生き方をサポートできるような素晴らしい業界になったらいいなと心から願っています。最近はジェンダー分野が注目されつつありますが、昨今国会で話題の法案の議論などに矮小化せずに、社労士の立場から社会貢献事業としての人材ビジネスのあり方と真っ向から向き合っていきたいという考え方についても概要をお伝えしました。

主催の山内氏との対談や参加者からのご質問も盛り上がり、終了後の懇親会ではさまざまな業態の人材ビジネス会社の経営者、管理者の方々と意見交換できました。講師としていろんな人とお話しして、フィールドワークで得ている手ごたえにたしかな肉付けをいただいたので、このテーマをもう少しブラッシュアップして、次回は社労士の人向けにも話してみたりして、いい意味でどんどん業界を盛り上げていきたいと考えています。

キャリア開発の分野などでも、女性や障害者や性的少数者などがマイノリティの典型であって、男性一般がマジョリティだという文脈がまだまだ多いですが、実際の世の中はもっともっと複雑に多様化しているのが実際です。それにも関わらず、いまだに“昭和モデル”にのみ依拠した社会システムが令和の社会の根底にあるのだとしたら由々しきことだと思います。パソコンのОSに例えるなら、早くアップデートしないと正常に動かなくなってしまう寸前なのかもしれません。

最近は毎日のように、「60歳に誕生日を迎えた瞬間、一瞬にしてマイノリティになってしまった」という声をお聴きします。マジョリティ男性の多くは、自分がある日突然にマイノリティに転落するとは思っていないし、それゆえに社会がマイノリティにいかに向き合うかという問題意識が培う視点もきわめて脆弱だともいえます。このような高齢者雇用のテーマは一番分かりやすいですが、今の時代に60歳の人を「高齢者」と呼ぶにはあまりにも違和感があり、リタイアメントをめぐるテーマは、労使の立場を問わず深刻化しています。

女性、障害者、性的少数者というカテゴリーで考えるのではなく、すべての人はマイノリティに始まりマイノリティに終わるという現実を直視することから、さまざまな雇用や労務のテーマ、そして人材ビジネスにも向き合っていきたいものです。生まれたときは例外なく自分の力では何一つできないマイノリティの塊である人間は、自分がマジョリティに他ならないと自負するようになると、いつしか本来のマイノリティ性を失ってしまうというのが、問題の本質なのかもしれません。昨今進化が目覚ましいAIの時代に人間が人間らしさを失わずに対峙していくためには、こんな感性がとても重要なのではないかと思います。