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ナデック通信

2020年
2月号

「労使協定イメージ(令和2年1月14日版)」を読み解こう!

今年4月からのいわゆる同一労働同一賃金のスタートに向けて、実務対応が急がれています。特に大企業、中小企業を問わず一律に施行される改正派遣法については、派遣先均等・均衡方式か労使協定方式かの選択が迫られ、いずれも厳格なルールを遵守することが求められることから、対応に苦慮する経営者や実務担当者も少なくありません。
そんな中、1月14日、厚労省から「労働者派遣法第 30 条の4第1項の規定に基づく労使協定(イメージ)」が公開されました。労使協定の書式は以前からマニュアルや業務取扱要領でも示されていましたが、基本パターン一例しかなかったため、中小零細派遣元ではそのまま参考にするのが難しいのが現実でした。
そこで今回、対象範囲、職種、地域といった適用範囲や、通勤手当、退職金といった労使協定方式を採用した場合に適用されるルールについて、具体的なパターン(条項例)が選択できる渡る書式(イメージ、14ページ)が公開されました。
書式(イメージ)ではありますが、しっかりと内容を理解することで、通達やQ&Aだけでは解釈できない論点について、多くのヒントを得ることができます。その意味では、労使協定方式を採用する場合には、この更新版の書式(イメージ)を確実に読み解くことが重要だといえるでしょう。
以下、ポイントだと思われる論点について少しまとめます。
 
 
 
 

 
 
 
 
 
労働者派遣法第 30 条の4第1項の規定に基づく労使協定(イメージ)」(令和2年1月 14 日公表版)

①「職業分類」について

職種ごとに統計(賃金構造基本統計調査もしくは職業安定業務統計)や分類(大分類、中分類、小分類)を使い分けることができ、その場合は労使協定に理由を記載する必要がありますが、その具体的な記載例が示されました。

②「地域指数」について

都道府県指数と公共職業安定所管轄の指数の使い分け、複数の地域指数にまたがって最も高い指数を使って比較する場合について、具体的な記載例が示されました。

③「基本給・賞与」について

複数地域にまたがって共通の賃金表を使う場合、職種が複数あり派遣先事業所が複数地域となる場合の具体的な記載例が示され、賃金表について柔軟な運用の方向性が読み取れます。

④「通勤手当」について

通勤手当の「徒歩圏」についての記載例によって原則2㎞未満というQ&Aの考え方が確認され、基本給・賞与・手当等、通勤手当、退職金を合算する場合の取扱いについて具体的な記載例が示されました。

⑤「退職手当」について

退職手当については、(1)退職金制度、(2)退職金前払い、(3)中退共等への加入の3方式について、具体的な使い分けの方法などの記載例が示されました。
 
 
 
選択する条項と解説の記載とがやや読みづらい感はありますが、通達本文やQ&Aと合わせて読むとこれらの論点がしっかり整理できるため、そのまま実務に落とし込んで労使協定の作成に役立てることができます。
ただし、一般賃金のうち最も中心的な部分である基本給についての条項案は、必ずしも実務で求められるパターンを網羅しているとはいえません。
ある意味では、この労使協定イメージ(条項案)は、施行段階で絶対に確定しておかないと制度自体が成り立たない部分と、施行後に具体的に実務を運用していく中で内容がブラッシュアップされていく部分を切り分けているとみることができるかもしれません。
いずれにしても労使協定を作成・締結する上で必須の内容が詰まっていますので、しっかりと読み解いて実務に反映していきたいものです。