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ナデック通信

2020年6月号

パワハラ防止法と「ポストコロナ」の働き方

全国で緊急事態宣言が解除されて、ようやく在宅勤務やテレワークから日常に戻ったという人も多いでしょう。秋以降の第二波も警戒されますし、まだまだ警戒を怠ることはできませんが、ひとまず落ち着きを取り戻したいものです。

コロナの影響による経営破綻はすでに200社近くに上り、失業者もわずか2か月で1万人規模になっています。いずれもリーマンショックを上回る深刻な状況であり、これからの日本経済の先行きがますます懸念されます。

そんな中、「パワハラ防止法」として注目されている改正労働施策総合推進法が施行されました。6月1日からまずは大企業からですが(中小企業は2022年4月から)、初めてパワハラの定義について規定し事業主に措置義務を課す法律であるため、労務管理の現場に大きな影響があると思います。パワハラ防止法では、以下の3点がパワハラの定義とされています。

①優越的な関係に基づき
②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動によって
③労働者の就業環境が害されること

事業主が講ずべき措置の内容は、厚生労働大臣の「パワハラ防止のための指針」(事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針)で定められています。いわゆる「6類型」を指針の内容から整理すると以下のようになります。

 

パワハラの類型について

【該当すると考えられる例】 【該当しないと考えられる例】
イ 身体的な攻撃(暴行・傷害) ・殴打、足蹴りを行うこと。
・相手に物を投げつけること。
・誤ってぶつかること。
ロ 精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言) ・人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を行うことを含む。
・業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと。
・他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うこと。
・相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等を当該相手を含む複数の労働者宛てに送信すること
・遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して一定程度強く注 意をすること。
・その企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行動を行った労働者に対して、一定程度強く注意をすること。
ハ 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視) ・自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりすること。
・一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させること。
・新規に採用した労働者を育成するために短期間集中的に別室で研修等の教育を実施すること。
・懲戒規定に基づき処分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させるために、その前に、一時的に別室で必要な研修 を受けさせること。
ニ 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害) ・長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ずること。
・新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責すること。
・労働者に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせること。
・労働者を育成するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せること。
・業務の繁忙期に、業務上の必要性から、当該業務の担当者に通常時よりも一定程度多い業 務の処理を任せること。
ホ 過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと) ・管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせること。
・気にいらない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えないこと。
・労働者の能力に応じて、一定程度業務内容や業務量を軽減すること。
ヘ 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること) ・労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりすること。
・労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること。
・労働者への配慮を目的として、労働者の家族の状況等についてヒアリングを行うこと。
・労働者の了解を得て、当該労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情 報について、必要な範囲で人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促すこと。

(「パワハラ防止のための指針」より作成)

 

パワハラ防止措置義務は、法律でパワハラの概論的な定義が位置づけられ、指針で事業主が守るべき内容が列挙されていますが、世の中で起こるパワハラの類型を網羅することは不可能なため、「グレーゾーン」に該当するケースも少なくないといわれています。

事業所ごとの服務規律やガイドラインの整備などとともに、教育指導や啓蒙などを進める必要がありますが、法律上もパワハラについて労働者の関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に注意を払うための研修の実施などに努めることが求められています(第30条の3)。

特に「ハ 人間関係からの切り離し」や「ホ 過小な要求」などは外観上はパワハラとは見えづらいケースも多いため、関係者にまったく自覚が見られないうちに深刻な状況が進んでいるケースも少なくありません。いつでも気軽に相談窓口の設置とともに、パワハラ根絶に向けた社内の機運を醸成していく努力が求められるでしょう。

ポストコロナの時代には、在宅勤務やテレワークがすべて姿を消して単純に以前の光景に戻るのではなく、働き方はますます多様になっていくといわれています。その中で、景況の悪化や業務の効率化などによって雇用のあり方も変化し、「仕事ができる人」により仕事が集中していく傾向が強まるかもしれません。

 

コロナによる休業によって仕事を奪われた非正規雇用は完全に現場に戻ることはなく、消費の低迷などによって悪化した業績を取り戻すために少数精鋭で
より高い成果を挙げることが求められる場面も多いでしょう。これらは奇しくもパワハラの発生の引き金となる可能性が高いです。

外出自粛で在宅勤務やテレワークをしていた時期も、いったんコロナが収束して経済活動の遅れを取り戻そうと奔走する時期も、コロナ以前の「平時」ではなく特殊な時代だといえます。それゆえに、普段は普通と思っていたことが普通ではなくなり、無意識のうちにパワハラが頻発する懸念があります。

パワハラ防止法と「ポストコロナ」。本来はまったく関係のなかった2つですが、労務管理を考える上では明らかにリンクさせてとらえる必要がありそうですね。まずは、6月1日からの改正法について、中小企業も含めて確実な社内体制を整えていきたいものです。

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