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ナデック通信

2020年1月号

「働き方」と「雇い方」が激変する2020年がスタート!

新年あけましておめでとうございます。
令和になって初めてのお正月を迎えました。
中小企業の雇用環境をめぐってもさらなる激動の時代になると思いますが、少しでも皆様のお役に立てますよう尽力いたしますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2020年は昨年から順次施行されている働き方改革がさらに加速し、同一労働同一賃金がスタートする一年になります。
さらにいわゆるパワハラ防止法も施行され、雇用や労務との向き合い方が大きく変化していくことになります。
その他の労働法や社会保険をめぐる改正の動きも検討が進むことが予想され、単に改正が多い年で終わるのではなく、大きな時代の節目と位置づけられるでしょう。
その意味では、「働き方」と「雇い方」をめぐるあり方が激変するスタートの年だということができます。

 

まず同一労働同一賃金ですが、本来は労使の合意で決定されるべき労働者の待遇について、国が一定の介入もしくは誘導を行うことは今までの日本の労働法にはなかった考え方であり、間違いなく今後10年の日本の雇用を占う上での画期になると思います。
今年以降の目玉政策となる同一労働同一賃金について、国が公表しているマニュアルの作成に関わられた法政大学の松浦准教授のセミナーに昨年末参加しました。
松浦先生のお話は全編にわたって示唆に富んでいましたが、一番リアルで興味深かったのが「日本版同一労働同一賃金」ができる経緯と背景でした。

今年から施行される同一労働同一賃金が西欧でいうところのそれではなく、「日本版同一労働同一賃金」であることは有名な話です。
日本の法律にはいっさい同一労働同一賃金という言葉ありませんし、基本的には行政が打ち出している資料などでも「いわゆる」という表現が登場します。
同じ仕事をしている人に同じ賃金を支払うという意味での同一労働同一賃金ではなく、あくまで正社員との比較において同じ企業内における非正規雇用の待遇の改善をはかるというのが日本における、いわゆる同一労働同一賃金です。

 

そこで今回の働き方改革の特徴は、非正規雇用の待遇改善をはかる上での背景として、従来からの少子化の抑制や貧困・格差の是正だけでなく、経済成長が色濃く意識されていることです。
非正規雇用の待遇を改善することを通じて個人消費の喚起につなげて景気の高揚をはかるという考え方は、今までの日本の雇用政策とは一線を画すものだといえます。
日本の雇用システムは正社員と非正規雇用との賃金形態が分断していることが特徴ですが、それに対応する政策として雇用規制やキャリア形成などだけではなく、賃金の決定そのものからアプローチする方法はかなり斬新な内容だといえるでしょう。

西欧のように産業別・職種横断的な労働組合や賃金決定の仕組みがなく、大企業を中心に新卒一括採用を通じて社内で異動や配置転換を伴う人材育成を行う日本の雇用慣行は、そもそも同一労働同一賃金という発想には馴染みにくい土壌があります。
それが2016年にガイドライン案の公開、2017年に実行計画の決定、2018年に働き方関連法の成立、2019年に労基法部分の施行、2020年に同一労働同一賃金の施行というスピード感で推進されたのには、やはり抗い難い時代の流れが背景にあると考えるべきでしょう。
その一つは経済成長路線を軸に置いた経済政策の一環としての位置づけですが、さらにその背景にあるのは劇的な加速する少子高齢社会への雇用政策としての具体的な対応が必要だという点があります。

 

パワハラ防止法においては6つのパワハラの類型がガイドラインとして公開されることが固まっており、セクハラとは異なり今までは基準があいまいだったパワハラについて定義が置かれた上で、行政指導が行われることになります。

古く昭和の時代には熱血のモーレツ社員が寝食を忘れて仕事に打ち込むことが美徳とされ、その中での教育指導は結果を求めるためになら体育会的な多少手荒な振る舞いすらやむを得ないという風潮がありましたが、まさにそのような景色は隔世の感がある時代になりました。

文字通り「働き方」と「雇い方」が大きく変化する時代がスタートする2020年ですが、この流れは単に労働法が大きく改正された、雇用をめぐる規制が強化されたということ以上の意味があると考えられます。

 

 

ここからはまったくの私見ですが、大きな視点で見るなれば明治以来の日本の社会的分業システムが昭和、平成を経て生活や就業の実態から遊離して実効性がなくなってきたことへの対応だといえるでしょう。
江戸時代という封建システムの時代が崩壊して、明治以降に日本の近代化がはかられますが、その中で打ち出されたのが中央集権、殖産興業、軍国主義といった仕組みです。
結果、日本は短期間で西欧諸国を凌ぐほどの経済発展を成し遂げることになりますが、それは成果とともに多くの内的矛盾を抱えたものでもありました。
その意味では、明治維新には大きな歴史の屈折があった時代だったといえるでしょう。

 

「男は仕事」「女は家庭」というジェンダーに基づく社会的分業は、これらの政策誘導の中で広く浸透していくことになります。
江戸時代の経済社会が、商家であれ農家であれ多くの女性たち(おかみさん)が重要な役割を果たすことによって発展していたこととの対比においてとらえると、このことはよく理解できるでしょう。
すなわち、ジェンダーに基づく役割意識はある時代の政策によって誘導されたものであり、「(専業)主婦」という社会的位置づけもいわば人為的に作られたものでした。
これらの分業の仕組みは軍国主義の時代には大きな威力を発揮し、戦後の高度経済成長期には形を変えつつも企業戦士たちの活躍の土台となりましたが、失われた十年の平成を挟んで、多様性の実現が求められる令和の時代には通用しないモデルになりつつあります。

 

昨年のジェンダーギャップランキングで日本は韓国や中国よりもはるかに下位にランクされ、国際社会からは女性活躍の場がまだまだ浸透していないことに憂慮の目が向けられています。
他方で男性においても若年層を中心に格差や経済的貧困が広がっていることが知られ、ジェンダーとともにジェネレーションギャップが深刻な問題となっていることも現実です。
同一労働同一賃金は女性や若年層の経済的地位の向上を後押しし、パワハラ防止法は社会的弱者の就業環境の改善をはかるものだと考えるなら、理解しやすいでしょう。
社会保険の適用拡大や税制における扶養範囲の見直しなどの流れも含めて、これらの方向性の延長戦上にどんな景色があるかを予想することは比較的容易だといえます。

 

 

「働き方」と「雇い方」の激変が始まる2020年。経営者や管理者には、目の前の実務に対応し、コンプライアンスを遵守することはもちろんですが、これからの大きな日本社会や雇用や社会を取り巻く環境の変化についても、中長期の目線で目配せする機会にしたいものですね。
新年だからこそ、変化の時代中で、「働く人」と「会社」がともに新たな時代に対応し、ともに幸せになっていく道筋について考えてみたいものです。

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