業務請負について、さまざまなご相談に対応していると、たまにこんなことをおっしゃる方がいます。
「労働局にも聞いたのですが、なかなか教えてくれないのですよ」。
派遣会社にかぎらず、請負をやられている会社なら、同じような感想をもった人もいるかもしれません。
ちなみにいうと、私が知っている労働局の方は、親切な人ばかりです。
決してなにか意地悪のせいで、教えてくれないということはありません。
教えてもらえないのは、明らかに別の理由です。
国の機関には、それぞれ所掌事務というものがあります。
厚生労働省の場合、労働分野については、「労働条件その他の働く環境の整備及び職業の確保」です。
そして厚生労働省設置法の中に、事細かな事務の内容が書かれています。
労働契約や労働条件、労災保険や雇用保険、技能検定など、40項目近くもあります。
この中に、「派遣事業の監督」が含まれています。
逆にいえば、ここに入っていない事務については、取り扱うことはできないのです。
「請負」は、この項目の中には入っていません。
そもそも事業としての請負は、経済産業省の管轄なのです。
原則としては、厚生労働省、労働局の取り扱う分野ではないのです。
ただし、例外として、請負事業が「偽装請負」となって、すなわち実質が派遣事業とみなされる場合、管轄に入ることになります。
法律の規制に従わない派遣事業は、違法な労働者供給事業なので、ここについては当然きびしく取り締まるのです。
これは法律を守っている多くのほとんどの事業者や労働者のためにも、当然のことだといえるでしょう。
厚生労働省がきびしく目を光らせているのは、違法な労働者供給事業。
ですから、それ以外の(適法な)請負についてあれこれと教えてくれないのは、むしろ当然なのです。
ちょっと分かりにくいですが、法律や制度がそうなっていると考えると、理解しやすいですね。
とはいえ、派遣と請負とは、実務的にはとても密接なものでもあります。
私たち社労士が、しっかりお役に立っていかなければと思っています。