「うちの管理職(課長や店長)にも、残業代を払わなければいけないの?」
私たちも何度か残業代対策セミナーをしていますが、こんな質問はやはり多いものです。
あのマクドナルド事件でもそうですが、裁判所は管理監督者をとてもシビアに判断します。
一般的に、
- 経営者と一体的な立場
- 立場に相応しい待遇
- 労働時間の自由裁量
がポイントだとされています。
いざ裁判になると、これらをほぼ完璧にクリアしないと管理監督者とは評価されないのです。
ただ、厚生労働省の通達をみると、少しニュアンスが異なる部分があります。
- パート・アルバイト採用や労働時間管理
- 一般社員を上回る待遇
- 遅刻・早退による減給がない
概して裁判所の評価よりは、やや緩やかな言葉遣いだといえます。
行政は、特に③の部分はあまり重要視していないようです。
管理監督者の問題を考えるときは、こうした実態を知ることも重要です。
すなわち、裁判所(あるいは労働組合)と行政指導とでは、現実問題としてやや異なるものの見方をしているのです。
疑問に思われるかもしれませんが、労働法の分野ではこうした実態はめずらしいことではありません。
新聞等で報道される裁判だけを見てもダメ、厚生労働省のホームページだけを見てもダメなのです。
課長や店長の残業代トラブルを防ぐ方法には、大きく2つあります。
まずは最低限の対策として、通達の内容を順守すること。
このレベルがクリアできないようでは、企業が抱えるリスクははかりしれません。
そして、万が一にも裁判所の判断が下されるような事態に備えて、定額残業代を支給することです。
現実に評価が微妙なケースでも、現実に残業代に相当する賃金を支払う仕組みがあれば、当面は安心できます。
管理監督者をめぐる問題には、こうした評価の二重構造があること、頭の片隅に置いていただきたいものです。