社会保険
社会保険については、3月5日からマイナンバー(個人番号)による届出・申請が開始されています。社会保険の届出・申請の様式も変更され、個人番号欄などが追加されたほか、A4縦判へと様式が変更され、全体のカラーも変わったため、以前のものとは一変しています。
例えば資格取得届については以下の様式になっています。これまで基礎年金番号を記載して届け出ていた様式等には、原則としてマイナンバーを記載して届け出ることになります。法令上は「個人番号または基礎年金番号」を記載することになっていますが、日本年金機構では原則として個人番号を記載し、個人番号の提供が困難な場合は引き続き基礎年金番号を用いることができるという方針です。
社会保険の様式は、労働保険とは比べものにならないくらいガラッと変わっています。被保険者資格取得届、被扶養者(異動)届、月額変更届など、様式が統合されたものと、年金手帳再交付申請書、算定基礎届や賞与支払届の総括表など、様式変更のみが行われたものがありますので、混乱することのないよう注意したいものです。
社会保険については、マイナンバーを利用することで、今後は住所変更届、氏名変更届等の届出が省略できる予定とされています。これから手続き全体の簡略化や簡素化が進んでいくことになりますので、期待したいものです。
労働保険
雇用保険については、5月から届出・申請についてマイナンバーの記載が徹底・強化されることになりました。厚生労働省から「雇用保険手続の際には必ずマイナンバーの届出をお願いします」とするリーフレットが発表されており、マイナンバーが必要な手続きについて、マイナンバーの記載がない場合には、補正のために返戻するとされています。
マイナンバーの記載が必要とされているのは、以下の書式です。
①雇用保険被保険者資格取得届
②雇用保険被保険者資格喪失届
③高年齢雇用継続給付支給申請
④育児休業給付支給申請
⑤介護休業給付支給申請
今後、資格取得届や資格喪失届へのマイナンバー記載がなさないと、ハローワークから補正のために返戻されることが考えられ、その場合、特に離職票の交付が遅れるなどの懸念も出てくることが心配されるでしょう。
この点について厚生労働省のリーフレットでは、「拒否された場合の取扱いについて」として、具体的に以下のように述べています。
雇用保険手続に当たって、仮にマイナンバーの提供を拒否された場合は、その旨を申し出ていただいた上で受理することとしており、個人番号の記載がないことをもって、ハローワークが雇用保険手続の届出を受理しないということはありません。
なお、電子申請の場合は各届出等の備考欄(資格喪失届は備考欄がないため社労士欄の直下のスペース)に「本人事由によりマイナンバー届出不可」の記載をお願いします。
ニュアンスの問題もありますが、ある程度は現実的な対応をハローワークの窓口等ではとられることが想定されます。
なお4月11日には、「雇用保険業務における マイナンバー対応Q&A」も公表されています。特に実務上の関心が高そうな項目をピックアップします。
Q1 個人番号と被保険者の両方を記載して届出させるのではなく、 個人番号の記載に一本化するべきではないか?
A1 ハローワークにおいては、 被保険者と個人番号の 紐付けを行うため基本4情報 (氏名、性別、生年月日、住所) のうち住所情報を有していないことから、従業員の個人番号を収集し、被保険者との紐付けを行う必要があります。
Q2 個人番号の届出を郵送で行った場合に漏えい事故が発生するリスクがあるが、どのようにすれば良いか?
A2 やむを得ず郵送により処理を行う場合には書留等の記録付郵便により、返信用封筒(書留等の記録付郵便によることとした場合の郵券を貼付の上、宛名を記載)を同封いただきますようお願いします。
Q3 雇用保険手続について、手続の契機ごとに同一従業員の個人番号を重複して提出することになるのか?
A3 手続の契機ごとに個人番号を記載して届出を提出するのが 基本ですが、当該従業員を雇用する事業主からの他の契機に届け出られたことが確認できる場合には、事業主等が「マイナンバー届出済」と欄外等に疎明を行っていただくことにより、資格取得届を除き、受理することとしています。
とても読みやすいQ&Aですので、興味のある方はぜひ一度全文に目を通してみることをおすすめします。