三重県の社会保険労務士法人ナデック

初回相談無料!まずはお気軽にナデックまでお電話ください。

三重県の労務問題、労使トラブル、行政対応、研修講師ならナデックへ。

059-388-3608
受付時間 10:00-18:00
HOME ナデック通信 派遣法改正案の成否、そしてその後の実務対応は?
a

ナデック通信

2015年
9月号

派遣法改正案の成否、そしてその後の実務対応は?

派遣法改正案は、6月19日に衆議院を通過し、現在参議院で審議中ですが、なかなか本決まりにならないのが派遣法ですね。施行日は9月1日から30日に変更ということで今国会での成立が目指されていますが、例のごとく可決成立の瞬間まで分からないので、注目している方も多いと思います。

今回の改正は、許可制への一本化や期間制限の仕組みの根本的な変更など、派遣制度が始まって以来の大改正です。すでに派遣元、派遣先を問わず、多くの方々が改正後の実務対応に注目しています。そうした疑問や関心にお答えするため、私どもでも今【緊急セミナー】を開催しました。

8月8日に鈴鹿市で開催したセミナーでは、ゲスト講師のキャリアカウンセラーの高木透さんにキャリアアップと雇用安定措置のテーマを担当していただき、その他の改正点の解説を私が担当しました。主には以下のテーマについてお話ししました。

  1. 特定労働者派遣事業の廃止
  2. 期間制限の見直し
    (派遣労働者単位、派遣先単位)
  3. 派遣労働者のキャリアアップ・処遇改善
    (雇用安定措置、キャリアアップ措置、均衡待遇)
  4. 労働契約申込みみなし制度
    (7月10日通達)

改正直前のタイミングということもあり、県内はもちろん、お隣の愛知県からもかなりたくさんのみなさんにご参加いただいたほか、東京からはるばる日帰りで来られた方もいらっしゃりました。終了後も講師への質問をめぐって長蛇の列ができました。その後も予約制で個別に無料相談も実施させていただいていますが、いずれも幅広いご質問に私たちも勉強させていただいています。

参加者の方々やどうしても参加できなかった方から、第二弾開催や愛知県での開催のリクエストをいただきましたので、10月9日に【名古屋セミナー】を開催することになりました。第二弾では、さらに踏み込んだ改正法の解説のほか、これから発表されるであろう政省令や業務取扱要領についても具体的に解説する予定です。時節がら第一弾同様にすぐに満席になる可能性がありますので、興味のある方は早めにお声掛けください。
 
 
 
 
先日は、三重県経営者協会主催の「派遣法改正セミナー」に登壇させていただきました。午前中から雨で足元が悪い天候でしたが、県内各地から約50人の方が参加されました。派遣先、派遣元を問わず、今回の改正案へのみなさんの関心の高さをあらためて痛感します。開始直前に主催者の方から「こんなニュースがあったのですが・・・」と声をかけられましたが、おりしも参議院の厚生労働委員会(理事懇)で施行日の延期について話し合われた直後のタイミングでした。

与野党で折り合わなかったというニュアンスの報道だったため法案の成否を心配する向きもありますが、私の意見についてはセミナー中にもお話ししました。派遣労働者、派遣元、派遣先がこれだけヤキモキする法案審議というのは、やはり政治の責任なのだと思います。

先日の自主開催セミナーでは派遣会社さん向けのお話しをしましたが、経営者協会は派遣先さんも多いということで、派遣先単位の期間制限や雇用安定措置、労働契約申込みみなし制度に特に力点を置きました。今回の改正案は派遣会社はもちろん派遣先が関わる改正点が多いですし、それぞれの論点が派遣先の現場与える影響もとても大きいものです。今まで何度も改正があった派遣法ですが、今回ほど派遣先のみなさんが真剣に注目し自らの問題として動いている方が多いのは初めてですね。

終了後も会場がクローズドになるまでご質問の列ができましたが、そのほとんどが切実な悩みを抱える派遣先のみなさんからでした。もちろん法案が成立して、政省令や業務取扱要領が出されてからでないと何ともいえない論点もありますが、私なりの精一杯の見通しや対策はお伝えしています。専門家として頼られる以上、こういった時期こそしっかり頑張っていかなければと思います。
 
 
 
 
ちょうど参院の委員会審議が行われる中でのセミナーとなりましたが、私が個人的意見として指摘させていただいたいくつかの論点は、国会でも議論の対象になっていたことを夜になって知りました。派遣先単位の期間制限(派遣数労組等からの意見聴取)、雇用安定措置、そして労働契約申込みみなし制度。これらは本当にナーバスだし奥が深い論点です。

派遣先が過半数労組等から行う意見聴取をめぐっては、国会でも再三に渡って議論されています。企業側にとっては従来以上にハードルが高くなる手続きですし、期間制限違反による労働契約申込みみなし制度にも直結する制度ですが、過半数労組等が反対した場合の措置や当該手続きを怠った場合の対応、また労働者の過半数代表者の選出手続きについては、整理すべき論点が数多くあります。

また、雇用安定措置については3年以上が義務化、1年以上3年未満が努力義務となっていますが、この場合の努力義務の具体的内容も国会でたびたび話題になっています。通常は努力義務は義務規定ではなく配慮義務でもないことから、努力をした結果については直接問われることがないというのが基本的な考え方ですが、これまでの議論の流れをみるかぎりでは許可更新の際の審査に影響してくる可能性が否定できません。いずれにしても派遣業をめぐる許認可の審査や指導監督のハードルが引き上がっていくことは間違いないでしょう。

さらに、施行日前の派遣契約の期間制限の適用をめぐる改正案附則の「なお従前の例による」の文言解釈の件。これは純粋な法律論としてはおそらく両方の解釈が成立する余地があると思います。その上で、改正法の施行にあたっての現実的・実務的な運用が肝要であることは論をまたないところでしょう。

全体としては国会議員の先生方も与野党を問わずかなり鋭い議論を展開されています。「国会なんて・・・」と揶揄する方もいますが、ここ最近の審議は意義があると思います。あらためて、参院の存在を見直しました(笑)。ということで、引き続きしっかり取り組んでいきたいものです。