三重県の社会保険労務士法人ナデック

初回相談無料!まずはお気軽にナデックまでお電話ください。

三重県の労務問題、労使トラブル、行政対応、研修講師ならナデックへ。

059-388-3608
受付時間 10:00-18:00
HOME ナデック通信 労働者派遣法はどのように改正されるのでしょうか?
a

ナデック通信

2014年
2月号

労働者派遣法はどのように改正されるのでしょうか?

労働者派遣法の改正に向けての動きが加速しています。先日は日経新聞の一面トッップも飾られましたので、驚かれた方も多いと思います。昨年から労働政策審議会(職業安定分科会労働力需給制度部会)で改正に向けた議論が重ねられてきましたが、1月29日に最終報告書が厚生労働大臣に建議されました。この内容を踏まえて法案要綱が取りまとめられ、改正案が通常国会に提出される見込みです。

1.登録型派遣・製造業務派遣について
→登録型派遣・製造業務派遣ともに禁止せず、雇用安定措置を講ずる。

2.特定労働者派遣事業について
→特定と一般の区別を撤廃し、すべての派遣事業を許可制にする。

3.期間制限について
→26業務を撤廃し、派遣労働者単位と派遣先単位の2つの期間制限を設ける。

4.直接雇用の推進について
→派遣労働者の希望に応じた雇用機会の確保に努める。

5.派遣先の責任について
→セクハラ・パワハラ等や派遣先の使用者性の代表判例等を指針に盛り込む。

6.派遣労働者の処遇について
→派遣労働者と同種の業務に従事する労働者との均等待遇。労働・社会保険の加入促進。

7.派遣労働者のキャリアアップ措置について
→派遣労働者のキャリア形成を許可要件および派遣元責任者の職務に追加。

8.平成24年改正法について
→引き続き審議会で検討。日雇派遣については法改正を伴わない見直しも検討。

9.指導監督の強化について
→許可取得後最初の許可更新時に、許可基準を満たしていることを審議会に報告。

 
 
 
今回の改正案の柱は、いうまでもなく 2.特定労働者派遣事業について と 3.期間制限について の2点です。なかでも新聞やテレビ等のメディアの注目が集まっているのが、正社員を含めた雇用環境への影響が大きい「新たな期間制限の考え方」の導入です。
労働者派遣の期間制限については、従来26業務とそれ以外の自由化業務とに区分したルールが適用されていましたが、26業務の定義や範囲にはあいまいな部分があることから派遣現場での混乱もみられ、26業務の考え方自体についての批判も根強くありました。そこで今回の改正では26業務を廃止され、新たな期間制限のルールが構築される見通しです。
 
 
新たなルールでは、期間制限の仕組みを「個人単位」と「派遣先単位」とに分けます。「個人単位」では、原則として同一の組織単位では3年を超えて継続して派遣労働者を受け入れることができず、3年を超えた派遣労働者は、来年から施行される労働契約申込みみなし制度の対象にもなります。一方、「派遣先単位」では、原則として同一の事業所で3年を超えて継続して派遣労働者を派遣することができませんが、一定の場合の例外が置かれることになります。
すなわち、「個人単位」では最長3年までしか派遣の受け入れはできませんが、「派遣先単位」では派遣先の労働者の過半数労働組合(過半数代表者)の意見を聴取することにより、3年を超えて派遣労働者を受け入れることができることになります。
昨年の審議会部会から労使間の意見の相違がみられた「派遣先における期間制限」をめぐる派遣先の労働者代表からの意見聴取の方法について、最終報告では「過半数代表者からの意見聴取」に落ち着きました。
 
 
 
また、1月17日(第203回)に示された案と29日(第204回)の報告書の相違点としては、主に以下の2点があります。

(1)派遣先が過半数組合等の意見を聴取せずに同一の事業所に3年を超えて継続して派遣労働者を受け入れた場合は、労働契約申し込みみなし制度の適用対象とする。

(2)派遣契約の終了のみをもって解雇しないようにすることを許可基準に記載する。

いずれもこれから改正案がとりまとめられるにあたって、どのような内容になるのか注目していきたいものです。
 
 
 
 
「労働者派遣制度の改正について(報告書)」については、以下でご覧いただくことができます。
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11654000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu-Jukyuchouseijigyouka/0000036087.pdf