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ナデック通信

2013年
9月号

派遣法のこれからの改正の流れは?

派遣法の見直しを議論していた厚生労働省の研究会が、8月20日に派遣法改正の方向性を盛り込んだ報告書を出しました。

労働政策審議会で議論をまとめた上で、来年の通常国会に改正案を提出し、改正が進められる見通しです。

現状の分かりづらい制度を改め、派遣元、派遣先、派遣社員の3者にとってより分かりやすい仕組みを目指していくとしています。

改正の方向性は、前回改正の規制強化の流れから、180度近くの転換を打ち出すものです。

民主党から自民党へと政権が変わり、政策の流れが変わったことの影響が、より色濃く反映している分野ですね。
 
 
 
 
今回の見直しの目玉は、何といっても「専門26業務」の区分の撤廃です。

現行法では、最長3年で抵触日を迎えた派遣社員は、引き続き就業できなくなるという規制がありますが、26業務はその例外です。

システム開発や財務処理のほか、ファイリングや取引文書作成などが指定されてますが、複雑に入り込む実務の中で専門分野の垣根があいまいになるケースもあることから、運用が難しい面がありました。
 
 
 
 
唐突に打ち出された26業務の撤廃という方向には、戸惑いの声も聞かれますが、むしろ積極的に派遣制度を活用しやすくなるという意見もあります。
 
 
 
 
同時に、派遣期間の上限を従来の「業務」ごとではなく、「人」ごとに定めるように変更することが検討されています。

現行の派遣期間の上限は、派遣先がある「業務」を派遣社員に任せてもよい期間であり、ひとりの派遣社員が同じ職場で働ける期間ではありません。

「人」ごとに派遣期間の上限が設定されるようになると、派遣先は、3年を超えて以降も、派遣社員を交代させたならば、ずっと派遣活用をすることができるようになります。

この変更は派遣元にとっても派遣先にとってもメリットのある内容ですが、正社員の雇用が派遣社員に取って代わられる、いわゆる「常用代替」が加速してしまうというリスクも指摘されます。

そのため、派遣社員が交代する際に、派遣先の労使が協議して派遣の継続の可否を判断する仕組みを検討することが、報告書でも求められています。
 
 
 
 
そんな中、先日、大阪の事業者に対して、一般労働者派遣事業の取消処分が行われました。許可の取消処分は、現行制度がはじまって以来はじめてです。

直接の原因となったのは、派遣期間の制限への違反です(35条の2)。

事業停止命令中に労働局職員の検査を拒み、調査を妨害した行為が、取消事由に該当すると判断されました(14条、51条)。

抵触日のルールに関しては、今後の改正によって大きく考え方が変わっていくことになります。

初の許可取消が、抵触日違反による改善命令、事業停止命令が前提となって行われたことには、注目しなければなりません。

法改正の議論が加速し、改正の流れが具体化されているからこそ、無用の誤解や混乱を避けるために厳格な指導が行われている面もあります。

しっかり留意していきたいものです。