三重県の社会保険労務士法人ナデック

初回相談無料!まずはお気軽にナデックまでお電話ください。

三重県の労務問題、労使トラブル、行政対応、研修講師ならナデックへ。

059-388-3608
受付時間 10:00-18:00
HOME ナデック通信 「世の中に何を残したいと思って仕事をするか?」
a

ナデック通信

2012年
5月号

「世の中に何を残したいと思って仕事をするか?」

類は友を呼ぶといいますが、これは本当です。
人間が仲良くなれるかどうかは、本質的に信念のかたちによって、決まっていくからです。
だから、成功している人のまわりにはより成功者が集まり、レベルの高い人たちが影響し合うことで、さらに大きな成果を残していく。
成功したければ、まずはガムシャラに尊敬できる成功者に近づけばいい。
 
ただ、この考え方には、やはり限界もあります。
短期間で顕著な成果を挙げられない人は、事実上切り捨てられるという側面です。
私が思うのは、すぐに芽が出ない人を切り捨てるのは気の毒だという点だけでなく、そうしたタイプの人と距離を置くことは結果的に成功者集団の帰趨にもプラスにならないケースがあるということ。
 
若い頃はイケイケで事業を盛り上げて成功したけれども、ある段階にきたら風船が針に刺されたように急にしぼんでしまったという例は、世の中に多い話です。
それらの不運な例の共通項は、若くて経験が未熟だったにも関わらず、勢いによって目先の成果を挙げていたということ。
失敗体験が少ないまま目の前の成功だけを追い求めると、後年手痛いしっぺ返しを受けるというのが、人間社会の常のようです。
 
すぐには芽が出ないタイプだけれども、内面にはものすごい可能性とバイタリティーを秘めている。
こういう人の資質をいかに見抜き、自ら影響をもたらすことで、芽を成長させ花を咲かせるか。
今の時代に求められている視点とは、こうしたものだと私は個人的に感じています。
またブログなどでも触れていきますが、昨年の3・11を境としてビジネスへの向き合い方やあるべき思考回路はかなり変容しました。
 
これからの時代のビジネスの担い手に求められるのは、ずばり次の視点だと思います。
 
世の中に何を残したいと思って仕事をするか?
 
この問いに真正面から答え、仕事を通じて世の中と向き合う中で、価値観を共有できる仲間たちとお互いを高め合っていく。
「結果を出しているメンバーだけで、もっとがんがん儲ければいい」的な発想は、もう古いのです。
 
◆             ◆             ◆
 
ところで、今年は新卒採用を増やしたり、復活させた会社も多く、4月になってビジネスの現場にも、活気が出てきたところが多いようです。
景気じたいも、基本的には上向きの方向に推移しているという見方が多いですね。
 
それでも・・・。
景気だけが理由でなくても、本当に経営が苦しいという会社も多いものです。
私たちもいろいろな属性のお客様と関わりますが、ここにきて業績の良い会社と深刻な会社がますます二分化してきている気がします。
 
中小企業の経営というのは、ある種の「勝負」でもあります。
だから、誤解を恐れずにいえば、勝負は時の運でもある。
あらゆる努力を尽くすのは当然ですが、最終的にはやってみなければ分からない。
これが、中小企業の経営の本質だと思います。
 
ところが、世の中にはこの本質を知らなかったり、直視したくないと考える人があまりにも多い。
立派な社会人であっても、勝負に勝った経営者はすべて良い人で、逆に勝負に負けた経営者はすべて悪い人だと思い込んでしまう。
そして、その瞬間成功している経営者には人だかりができるのに、一点風向きが変わったら誰も寄り付かなくということは、日常茶飯事です。
 
これでは、あまりにもさみしいですね。
勝負に勝っている人はより強くなれるように、勝負に負けた人は盛り返すことができるように、そして勝負できない人にはそのための基盤をつくれるように。
経営者により身近なポジションで、最大限のバックアップをする。
これが、本当の専門家の役割だと思います。
 
私自身、零細会社の経営者でもあります。
そして、幼少の頃から、脱サラ経営者の父の姿を見て、育ってきました。
長男でありながら父の会社は継がずに、独立の道を歩みました。
20代で開業したこともあり、本当に多くの経営者から学ばせていただきました。
だから、経営者の勝負の意味は、痛いほど分かるのです。
 
さいきん、業績を挙げている経営者からのご相談も多いですが、業績に悩まれる経営者からの業務も多いです。
前者はやりがいがありますが、後者はプロの存在感が問われる場面です。
ありがたいことに、ご家族や経営幹部同様の存在として接してくださり、心から感謝の言葉をいただく方も何人かいらっしゃいます。
そして、次の勝負に向けて、ご一緒に考え、行動していくのです。
 
これからの日本、そして特に地方は、厳しい局面を迎えます。
だからこそ、本当の意味で経営の勝負の意味を理解し、誰よりも経営者に寄り添うことが、大切になってきます。
人に関する経営者支援のプロ=社労士は、何よりもこの目線を大事にしていきたい。
さいきん、さらにこの思いが強くなってきています。
 
やはりすべては、
「世の中に何を残したいと思って仕事をするか?」
この視点に尽きるのだと思います。