労働者派遣事業の許可を申請する際には、以下のような手順で行なうことになります。
各種確認事項のチェックや添付書類の準備、申請書、事業計画書の作成に約1か月、厚生労働省の審査および労働政策審議会の意見聴取を経て行なわれる許可手続きに3か月程度かかります。
許可要件のチェック(1日~1週間)
許可を受けるためには、次の許可基準を満たす必要があります。まず、これらに該当するかどうかをチェックします。
- 「専ら派遣」を目的として行なわれるものでないこと
- 派遣元事業主、派遣元責任者の要件を満たすこと
- 個人情報の適正管理のために必要な措置が講じられていること
- 財産的基礎、組織的基礎、事業所の要件等を満たすこと
- その他、民営職業紹介事業と兼業する場合、海外派遣を予定する場合の要件 など
この段階で、ある特定の会社に対してのみ派遣を行なうことを目的としていたり(1)、要件を満たす派遣元責任者が選任できなかったり(2)、要件を満たす個人情報適正管理規程が作成され、適正に運用される体制が講じられていなかったり(3)、直近の決算において基準資産額の要件を満たせていなかったりするとき(4)は、次に進むことはできません。
必要書類の準備(約1週間)
許可を申請するためには、以下の必要書類を準備する必要があります。特に役員の住民票や履歴書などはひととおり準備するのに思わぬ時間がかかることもあるので、この段階でそろえておくことをおすすめします(以下は法人の場合)。
- 定款または寄付行為
- 登記簿謄本
- 役員の住民票の写し及び履歴書
- 貸借対照表および損益計算書
- 法人税の納税申告書(別表1および4)の写し
- 法人税の納税証明書(その2所得金額)
- 事業所の使用権を証する書類(賃貸借契約書等)
- 派遣元責任者の住民票の写しおよび履歴書
- 個人情報適正管理規程 など
許可申請書、事業計画書の作成(約1週間)
許可申請にあたっては、許可申請書と事業計画書を作成する必要があります。このうち事業計画書は特に重要です。
雇用計画、派遣計画、教育訓練計画などを記載するものですが、この内容は行政でも重要視される上、今後、派遣事業を行なっていく上での骨格となるものです。
単に許可申請のために必要な書類ということではなく、この計画書に肉付けする形で、予算計画も含めた事業計画をこの段階で煮詰めておくことをおすすめします。
都道府県労働局への提出(約1週間)
許可申請書一式は、事業主の主たる事務所を管轄する都道府県労働局(を経由して厚生労働大臣)に提出します。労働局は、労働基準監督署やハローワーク(公共職業安定所)の上部機関で、各都道府県にひとつあります。
事業主の主たる事務所を管轄する労働局に対して提出しますので、例えば、本社(主たる事務所)は大阪にあって、派遣事業は名古屋の支店で行なうという場合は、許可申請書の提出は大阪の労働局に対して行なわなければなりません。
労働局への提出にあたっては、あらかじめ電話連絡をしてから訪問した方がスムーズにことが運ぶようです。
窓口が予想以上に混雑していたり、思わぬ書類不備が発覚することもあるので、提出には1週間ほどゆとりを持っていどんだ方がよいでしょう。
厚生労働省での許可審査(約3か月)
許可は、厚生労働省の審査と労働政策審議会の意見聴取を経て行なわれるため、許可手続きにはおおむね3か月程度かかります。
書類不備や行政からの確認事項が発生した場合は、当然のごとく審査に時間を要することになり、許可じたいが認められないケースもあります。
許可申請にあたっては万全を期しておく必要があります。
許可証の交付
許可が認められると、厚生労働大臣名で許可証が交付されることになります。これで、晴れて、労働者派遣事業を開始することができます。